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全米プロで再会した池田勇太の変貌。
30歳、契約解除、そしてリオ五輪。
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph bySonoko Funakoshi
posted2016/07/28 11:40
歴代最年少での選手会長として、新規大会を作ったりと足跡を残した池田勇太。いまは1ゴルファーとして、上を目指している。
30歳になり選手会長が終わり「自分のために時間を」。
振り返れば、池田に久しぶりに会ったのは昨年の全英オープンのときだった。あんまり久々だったので「記念写真撮ろうよ」と提案され、池田と2人、仲良く並んで写真を撮ったほどで、実際それはどれぐらい久しぶりだったのか調べてみたら、2012年から2015年の4年間で池田が挑んだメジャー大会はその全英オープン1試合のみだった。
しかし今年は、全米オープン、全英オープン、全米プロと続けざまに出場。しかも、その大会と大会の間は毎回帰国して日本ツアーの試合に出て、再び海を渡る多忙ぶり。そしてさらに今週の全米プロ後は、リオ五輪へ。
この動きだけを見ても、昨年までの池田と今年の池田はまるで別人のようだ。その異変は、なぜ起こっているのか。
「去年の12月で30歳になったのよ。それで吹っ切れた感じだな。選手会長が終わって、30歳になって、これからは自分のために時間を費やそうって思って、それでいろいろ考えた。トレーニングや練習、準備の仕方もいろいろ変えて、今までと違うことにトライしている。そのおかげで成績が良くなっていたりもする。そういうのが積み重なって、今こうして海外に来れているのかな」
ダブダブのウエア姿がオシャレに変わった理由。
覚えている方も多いと思うが、かつて池田はダブダブのウエア姿でプレーしていた。そのダブダブには、幼少時代からの憧れだったジャンボ尾崎のスタイルを真似る意味と、それが自分にとって最もゴルフの動作がしやすい作業着になるという2つの意味があった。
しかし、長年の総合契約を失った現在の池田は、ウエアもクラブも以前とは異なるものを使わざるを得ない状況下にある。
幸運にもウエアは早々に新たな契約を得て、マスター・バニー・エディションのオシャレなシャツとパンツに身を包んでいる。だからこそ今の彼は、出で立ちからしてすっきり見えるのかもしれない。だが、慣れた作業着を新たなオシャレ着に移行することには戸惑いもあったと言う。
「最初は慣れるのが大変だった。パンツよりシャツのほうが、つっぱり感があって、構えるのも大変で違和感があった」