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予想できなかったラスト1周の悲劇。
トヨタがル・マン初制覇を逃した瞬間。 

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赤井邦彦

赤井邦彦Kunihiko Akai

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photograph byTOYOTA

posted2016/07/05 11:20

予想できなかったラスト1周の悲劇。トヨタがル・マン初制覇を逃した瞬間。<Number Web> photograph by TOYOTA

ファイナルラップでのアクシデントは、トヨタ陣営だけでなくライバル陣営、観客、レース関係者すべての人にル・マンの厳しさを知らしめる瞬間となった。

天候不順に見舞われながら、トヨタが最速タイムを。

 予選はポルシェ2台が最前列を獲得し、TS050 HYBRIDの2台は3、4番手。

 予選は6月15、16日の2日間にわたって行われたが、2日目は不順な天候に翻弄されたため予選順位は1日目のタイムで決定した。そんな中、TS050 HYBRID#6号車に乗る小林可夢偉が2日目の夜の悪天候下で最速タイムをたたき出し、TOYOTA GAZOO Racingにとって力強い結果を残した。小林がLMP1-Hマシンでル・マンを走るのは初めてだが、F1で上位入賞を果たすドライバーの実力はさすがだった。

 トヨタのハイブリッドユニット開発の責任者であるトヨタ東富士研究所の村田久武モータースポーツユニット開発部部長は、「有意義に予選を戦えた。ドライ、ウエットの状況下でクルマの動きを確認出来たし、ダウンフォースの増減によるクルマの挙動、タイヤの状態も確認出来た」と、満足そうだった。

小さなミスひとつで脱落してしまうシビアなレース。

 決勝レースは18日午後3時にスタートを切った。

 トヨタの2台は、決勝レースに向けて予選終了後に主要コンポーネントを新品に交換。朝のウォームアップでそのチェックを行い、決勝レースに臨んだ。しかし、スタートの午後3時前からサルト・サーキットは激しい雨に見舞われ、序盤の1時間ほどはセイフティカーが先導。実際のレースが始まったのは午後4時近くだった。

 実質23時間になった今年のレースは、序盤からポルシェとトヨタの争いになった。レースが始まって暫くすると、セバスチャン・ブエミの乗るトヨタ5号車が遅れた。エンジン制御に関係するセンサーの1つに一時的な出力異常が発生し、パワーが出ない。ピットからの指示でブエミがそれを修復してペースを取り戻したときには5番手だった。そこから上位に上がってくるが、アンソニー・デビッドソンに交代してすぐに前輪に異常振動が出てピットイン、タイヤ交換を行い再び5位に落ちた。

 この目まぐるしい順位変動が表すように、トップグループを形成するトヨタ、ポルシェ、アウディの戦いは激しい接近戦の三つ巴となった。小さなミスひとつ、トラブルひとつでポジションはたちまち下がってしまう。それだけにドライバーには慎重な運転が要求された。とはいえ、クルマの性能は常に100%引き出しての走行が求められる。1人のドライバーが交代までの3時間近くを走りきる。ドライバーにとってもまさに耐久レースと言えた。

【次ページ】 優勝争いはトヨタとポルシェの一騎討ちに!

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