ル・マン24時間PRESSBACK NUMBER
予想できなかったラスト1周の悲劇。
トヨタがル・マン初制覇を逃した瞬間。
text by
赤井邦彦Kunihiko Akai
photograph byTOYOTA
posted2016/07/05 11:20
ファイナルラップでのアクシデントは、トヨタ陣営だけでなくライバル陣営、観客、レース関係者すべての人にル・マンの厳しさを知らしめる瞬間となった。
レース後、ポルシェ陣営から「勝者はトヨタだ」と。
中嶋一貴は一度止まった5号車をエンジンだけでゆっくりとスタートさせ、最後の1周を走ってきたが、「最後の周は6分以内に走りきらねばならない」というルールを満たせず、結局失格になった。TS050 HYBRID#5号車の23時間57分の戦いは、こうして幕を降ろした。
優勝はポルシェ2号車、トヨタ6号車が2位に入り、3位はアウディ8号車。後日、トヨタは5号車のトラブルの原因を「ターボチャージャーとインタークーラーを繋ぐ吸気ダクト回りの不具合」と発表した。
レースが終了して村田久武はポルシェにモーターホームに招待された。
建物に入ると、ポルシェのスタッフが「今日のレースの勝者は君たちトヨタだ」と強く抱きしめてきた。その瞬間、村田はレースをやっていて良かったと思った。激しい戦いを通してしか通じあえない気持ちが、村田とポルシェのスタッフの間に生まれた。村田はそのポルシェのスタッフにこう言った。
「来年は我々が招待します」
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