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要領よく勝利を掴んだスコットランド。
ラグビー日本代表に欠けていたもの。
text by
大友信彦Nobuhiko Otomo
photograph byAFLO SPORT
posted2016/06/28 11:00
スクラムでのホイールの他、多くの反則を取られた。PGで得点を奪われた末の敗戦となった。
「いい選手は、レフェリーをコントロールできる」
ハメットHC代行も、レフェリーを批判していただけではない。
「いい選手は、レフェリーをコントロールすることができる。ジョージ・グレーガンやショーン・フィッツパトリックが代表例だけど、レフェリーの判定に対して『ここはどういう判断で判定したのですか?』などと質問を投げかけながら、レフェリーの判断基準をコントロールしていく。だけど日本の選手は、レフェリーが下した判断をリスペクトしすぎて、それに従うことを前提に考えてしまう。もっと、レフェリーをコントロールすることを考えるべきだ」
この言葉には、日本代表が次のステップに進んでいくためのヒントが隠されているように思える。
W杯ではリーチ マイケルがレフェリーとの対話を。
昨秋のワールドカップでは、リーチ マイケルが、レフェリーに対し頻繁に話し掛けていた。それは判定に異議を唱えていたのではなく、質問を通じて「自分たちは反則しようとしていない」「より正しくプレーしたいので基準を教えて欲しい」「ありがとう、そうやるよ」という意思をレフェリーに伝え、レフェリーを自分たちの理解者にしてしまっていたのだ。堀江主将は、帝京大卒業直後に22歳でニュージーランドのカンタベリーアカデミーに留学し、まわりに日本人がだれもいない環境でプレーし、英会話能力も日本チームでは有数だが、やはりネイティブスピーカーほど自然に話せるわけではない。
翻って考えると、この夜のスコットランドは、決して盤石のチームではなかった。
この夜はスクラム、ラインアウトも含め、日本代表はほとんどの局面で互角以上に戦っていた。スタッツを見ても、ゲインライン突破回数、獲得距離、ボール支配率、どれを取っても日本が大きく上回っていた。それだけ不利な状況でも、スコットランドは終始落ち着いて戦い、トライを取れなくても動じることなくブレイクダウンでファイトし、PKを得ては着実に3点ずつを積み重ねた。