ラグビーPRESSBACK NUMBER
要領よく勝利を掴んだスコットランド。
ラグビー日本代表に欠けていたもの。
text by
大友信彦Nobuhiko Otomo
photograph byAFLO SPORT
posted2016/06/28 11:00
スクラムでのホイールの他、多くの反則を取られた。PGで得点を奪われた末の敗戦となった。
相手側にもハイタックルが2度あったはずだが……。
「特に気になったのは、ブレイクダウンでボールをスローダウンさせる行為だ。スコットランドの絡みは反則を取らないのに、日本が同じことをするとペナライズする」
ブレイクダウン(タックル後のボール争奪戦)の判定は外から見ても難しいのだが、よりわかりやすい例はハイタックルの判定だ。前半9分に日本CTBティム・ベネットが相手パスをインターセプトして独走トライを奪った、と見られた際は、直前のプレーで日本のNO8アマナキ・レレイ・マフィのジョシュ・ストラウスへのタックルをマリウス・ミトレア主審がハイタックルとみなし、トライは認められなかった。
だが後半、日本がスコットランド陣深くに攻め込んでボールを継続した際、少なくとも同等程度のハイタックルを浴びた場面が2度あったが、主審は反則を科さず、日本はボールを失い、逆襲を浴び、次のPKでPGを奪われた。スクラムでも、日本がしっかりコントロールしながら前に出ていても、わずかな(に見えた)ホイールで日本が反則を科された。
「そういうレフェリーにも対応していかないと」
実のところ、敗れた日本の選手からは、それほど不満のコメントは聞かれなかった。スクラムなどで不本意な判定を多く受けた堀江翔太主将は言った。
「レフェリーとどうコミュニケーションをとっていくかが課題。今日のレフェリーは、話を聞いてくれない感じがあったけれど、インターナショナルではそういうレフェリーにも対応していかないといけない」
一般的に、敗れた側が判定に対して不満を口にするのは「潔くない」ととられがちだ。「言い訳するな!」と言われることもある。
実際に、この夜のスコットランド戦と、これまでのテストマッチの歴史を振り返ってみれば、この程度の不利な判定はよくあることだ。この程度は受け入れても十分に勝てるだけのパフォーマンスだったと思う。アルゼンチンやイタリアは長い間そういう不利な判定を課されながら粘り強く勝利を重ねてティア1という地位を得た。