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EURO3連覇へ、キーマンはノリート。
スペインが用意する“プランB”とは? 

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工藤拓

工藤拓Taku Kudo

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posted2016/06/09 11:00

EURO3連覇へ、キーマンはノリート。スペインが用意する“プランB”とは?<Number Web> photograph by AFLO

多くのクラブを転々とし、代表歴もなかったが、2013年に加入したセルタで頭角を現したノリート。29歳、まさに脂の乗った状態でのEUROになる。

「スペインのMSN」も破壊力はなかなか。

 代表初ゴールを含む2得点を挙げた5月29日のボスニア・ヘルツェゴビナ戦では、ペナルティーエリア内で静止した状態からとっさの判断で芸術的なループシュートを流し込んだ。再び2ゴールを決めた6月1日の韓国戦では、軽快なステップで追いすがるディフェンダーをやり過ごし、最後はGKの股下を通してゴールネットを揺らしている。

 ボスニア戦の翌日、地元紙は「EUROの先発はノリート+10人」とその活躍を讃えた。韓国戦で計5ゴールを挙げた前線の3人は、バルセロナの南米トリオの愛称にかけて「スペインのMSN」と翌日の一面を飾った。

「M」はモラタ、「S」はシルバ、そしてもちろん「N」はノリートである。

 最前線のモラタが巧みなポストプレーと裏への抜け出しで攻撃に奥行きを加え、偽ウイングのシルバは中盤から前線にかけて自由に動きながら緻密なパスワークを紡いでいく。そして左のノリートが閃き溢れるプレーでゴールへの道筋を指し示す。

ショートパスが封じられた際のプランBが満載。

 恐らく本大会でも先発に並ぶだろうMSNに加え、ベンチにはアドゥリスやペドロ、ルーカスら“飛び道具”が控える。こうした多様性を重視した人選は、2年前の反省を踏まえてのことだ。グループリーグ敗退に終わったワールドカップの敗因の1つは、ショートパス主体のティキタカスタイルが封じられた際の「プランB」を用意しなかったことだからだ。

 他にもリードした際の逃げ切り策としてセルヒオ・ブスケッツとブルーノ・ソリアーノの併用を試したり、得点が必要な場面ではシルバをトップ下に置く4-2-3-1やモラタ、アドゥリスを2トップとする4-4-2に変形したり。これまでデルボスケは様々な局面を想定したオプション作りに励んできた。

 指揮官の準備にぬかりはない。CL決勝で負傷したダニ・カルバハル以外にケガ人も出ておらず、攻撃陣は軒並み好調だ。2年前の失敗があるから、選手達に油断や慢心はないだろう。

 3連覇を目指すラ・ロハにこれといった穴は見当たらない。史上初の3連覇へ向け、期待は高まるばかりだ。

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ビセンテ・デルボスケ

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