歴史的大勝は大きな副産物を生んだ。

　この日、先制点を決めた岡崎も柏木の能力を認めながらも課題を挙げた。

「陽介のスポットというか、1回ボールを止めるようなボールの持ち方ができるのは、岳（柴崎）とか、ヤットさん（遠藤保仁）とかごくわずかしかいない。このぐらいのテンションの相手であれば陽介の武器が最大限に発揮できる。でも、俺へのアシストのクロスも含めて、ハイプレッシャーやタイトなマークの中で同じようにあれだけのパスを出せるかどうか、ですね」

　中盤でガツガツくる相手ではなかったので、柏木の読みや予測でフィジカルコンタクトを回避し、ボールをうまく配給した。しかし、決勝で戦うボスニア・ヘルツェゴビナは技術が高く、球際が強い。岡崎の指摘したところを試すにはもってこいの相手だ。

　ブルガリア戦の活躍で柏木はチーム内の序列を上げ、長谷部とロシアW杯アジア最終予選を戦うボランチのファーストチョイスになり得るコンビになった。歴史的な大勝は、スコア同様に大きな副産物を生んだのである。