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ブルガリア戦7発、輝くボランチ柏木。
“ポスト遠藤”問題がついに解決か。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byTakuya Sugiyama
posted2016/06/04 12:30
前半の3点に絡んだ柏木陽介。ボランチが攻撃の起点として機能した意味は大きい。
守備に難ありも、粘り強さを見せた。
柏木の課題は守備と言われている。足が遅く、カウンターへの対応に難があり、また相手の攻撃を食い止める時、フィジカルで負けてしまう。実際、ブルガリア戦では香川ら小柄な選手が当たり負けしていない中、柏木は球際に苦戦し、自らボールを奪うことができなかった。
それでも今回はボールが取れないまでも必死に足を出したり、スライディングで身を投げ出したり、守備で簡単にはやられない粘り強さを見せた。
「自分の中ではACLをやりながら強くなっている部分が多い。でも、ガンと正面でぶつかった時は、まだ相手に強さがあるんで、そこで簡単にやられないように当たるタイミングをズラすとか、予測してプレーするとか、かしこさで相手を上回ることを身に付けていけたらと思っています。でも、ハセさんが前に出て行って、自分がうしろに残っていると緊張する。速い選手がいたらイヤやなって思うけど、でも、そこはしっかりとバランスをとってやらないといけない」
3点に絡んでも攻撃には「満足していない」。
足が遅いことを自覚しているだけに、カウンターの守備は想像以上にナーバスになるのだろう。実際、世界レベルのカウンターにしっかり対応できなければポジションを失う可能性もある。ザッケローニ監督時代、W杯アジア最終予選では絶対的な司令塔として君臨した遠藤がW杯直前で世界と戦う時、守備の脆さを指摘され、山口に取って代られた例もあるのだ。
課題は、守備だけではない。
攻撃は柏木の良さを打ち出せる武器だが、ブルガリア戦で3点に絡んでも、なお不満そうだった。
「満足していないですね。ゴール前にいけるシーンとかなかったんで、攻め切ることを考えたらそういうシーンをもっと作らないといけないですし、前線の選手と絡んでいくシーンをもうちょい増やしていかないといけない。ゲーム作りももうちょいメリハリを付けてやっていかないと……。代表に慣れて自分が出さないといけないものを出せている気はしているけど、もっとできると思うし、しないといけない」