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モーリス1着は岩よりも堅い……か?
あまりの強さに少頭数な安田記念。
posted2016/06/04 08:00
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Yuji Takahashi
日本の、いや、世界のマイル界に君臨する絶対王者が、第66回安田記念(6月5日、東京芝1600m、3歳以上GI)でも圧巻の強さを見せつけるのだろうか。
7連勝中のモーリス(牡5歳、父スクリーンヒーロー、美浦・堀宣行厩舎)は、どこまで連勝を伸ばすのだろう。走るたびに強くなり、昨年の安田記念、マイルチャンピオンシップ、香港マイル、そしてチャンピオンズマイルと、内外のGIを4連勝中。左右の回りも、枠の内外も、ペースも馬場状態も関係なく、他馬に襲いかかるかのような凄まじい勢いでゴールに飛び込む。
その強さに他馬陣営が恐れをなしたのか、登録の時点からフルゲートを割り、1988年以来28年ぶりとなる、12頭という少頭数での争いとなる。こうなると、ゴチャついたり乱ペースになりづらいので、余計に紛れる要素が少なくなる。つまり、順当にモーリスが勝つ可能性が高くなった。モーリスが、自身の強さによって勝つ可能性を高めた、と言うべきかもしれない。
唯一の不安点は、5月1日の香港チャンピオンズマイルから帰国後、千葉県白井市の競馬学校で1週間の輸入検疫を受けたあと、3週間の着地検査のため東京競馬場に滞在し、そのまま出走するという、初めてのパターンで調整されていることだ。追い切りのあと陣営からは、もう1週あれば一番いい、というコメントも出ている。
それでも、本番になれば自分でスイッチをオンにする馬自身のクレバーさと、昨年リーディングになった堀厩舎の調教技術があるからこそ、これだけ連勝してきたわけだ。
今回も、危なげなく勝つのではないか。
リアルスティールは初のマイルでどうか。
モーリスの連覇を脅かすとしたら、こちらも前走で海外GI制覇をやってのけたリアルスティール(牡4歳、父ディープインパクト、栗東・矢作芳人厩舎)か。通算 [3-4-1-1]と、1800mから3000mまで、どんな条件でも安定して力を出してきた。昨年の共同通信杯ではドゥラメンテを破っている。マイルは初めてだが、ワンターンで直線が長い東京なら問題ないだろう。