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マカヒキは「強い馬ほどよく眠る」!?
ダービーの朝も眠そうな大物ぶり。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byKyodo News
posted2016/05/30 11:40
上位人気3頭が抜け出した東京の直線、最後はマカヒキがハナ差で制した。このライバル関係はしばらく続きそうだ。
川田「マカヒキがダービー馬になったことが嬉しい」
「生まれた年が悪かった。そうとしか言いようがない」という武の言葉が、今年のダービーのレベルの高さを示している。「思いどおりのレースができました。一瞬勝ったと思ったのですが、上位の馬が強かった。この馬にもいつかGIのタイトルを獲らせてやりたいですね」
マカヒキを勝利に導いた川田は、デビュー13年目の30歳。10回目のダービー挑戦にしての初勝利で、史上8人目の五大クラシック完全制覇を達成した。
前走の皐月賞は、道中17番手という後方からの競馬となり2着に敗れたが、今回は8番手ほどの中団につけた。
「ゲートを上手に出るようになっていたし、枠(2枠3番)もよかった。ある程度の位置に、絡まれずにつけることができました。直線では狭いところを割り、届いてくれ、という思いで追いました」
ダービージョッキーになった感想を訊かれると、「何より、マカヒキがダービー馬になったことが嬉しいです」と答えた。
隙あらばウトウトする大物ぶりは父譲り?
ラスト200m地点までは、前のエアスピネルとサトノダイヤモンドが壁になっていたのだが、サトノが外によれたことで進路があき、そこから瞬時に抜け出した。運も持っているし、一瞬あけば通り抜ける卓越した瞬発力もある。「空前のハイレベル」と言われたダービーで頂点に立ったのも納得だ。
東京競馬場も左回りも2400mも初めてだったが、管理する友道調教師は心配していなかったという。
「血統的には短距離ですが、折り合いがつくので、距離は大丈夫だと思っていました。こんなに落ちついている馬は珍しいですよ。今朝も、担当者が厩舎に行ったら寝ていたそうです。私が見に行ったときも瞑想しているような感じで、眠そうでした(笑)。栗東にいるときも、昼でもよく寝ています。こういう馬だから、遠征も問題ないんです」
父のディープインパクトも、調教のあと前脚をアイシングされているとき、目をとじてウトウトしていた。この大物ぶりは父譲りかもしれない。