オリンピックへの道BACK NUMBER
荒木絵里香の復帰は木村沙織に恩恵。
“頼れる存在”が1つではなく2つに。
posted2016/05/13 11:10
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
AFLO
4年ぶりのベテランの復帰は、大会への最後のピースだったかもしれない。
5月14日、リオデジャネイロ五輪の出場権をかけたバレーボール女子の世界最終予選が開幕する。
5月22日まで行われる大会は、日本、韓国、タイ、カザフスタン、オランダ、イタリア、ペルー、ドミニカ共和国の計8チームが参加して、総当りのリーグ戦で行われる。日本がリオ五輪に出場するためには、4位以内に入ることが条件となる。
大会を前にした記者会見で、眞鍋政義監督は、「7試合厳しい試合が続くと思います。一致団結して必死に戦いたいと思います」と抱負を語っている。
2012年、ロンドン五輪出場権をかけた最終予選を前に、「全勝での1位通過」を目標に掲げたのと比べると慎重さを感じさせるのは、あのときの記憶があるからだろう。
当時の全日本女子は、2010年の世界選手権で32年ぶりのメダル獲得となる3位になるなど著しい成長を見せ、問題なく出場権を獲ることができると見られていた。
だが、出場権争いは最終戦までもつれこむ混戦となった。
最終的に勝ち点でタイと並んだが、セット率でタイを上回って4位、アジア枠で辛うじて切符を手にすることができた。大会前の予想とは異なる展開に、重圧のかかる予選という場の怖さを思い知らされたのが4年前だった。
コートでの役割に、主将の肩書きが加わった。
だからまずは、出場権の獲得を――。
そう意識するのが、チームの柱である木村沙織だ。
ロンドン五輪でもサーブ、スパイク、レシーブとあらゆる面でチームの主軸であり、「かえのきかない選手」と眞鍋監督も言う存在だった。そこにロンドンの後、主将の肩書きが加わることになった。
あれから月日を経て、木村も変化してきた。
就任した当初はこう語っていた。
「小学生でバレーボールを始めてから一度もキャプテンをやったことがないので……。自然のままでいいのかなと思っているので、特にキャプテンだからということでやっていることはないです」