スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
前田健太と衝撃的デビュー。
すでに球史に残る成績。目指すは?
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byGetty Images
posted2016/04/30 15:00
入団前の不安説を一掃するかのように勝ち続けている前田健太。デビュー戦で本塁打も放ち、メジャーを驚かせ続けている。
QSの継続こそが前田の目指す道。
こういう先駆者たちの列に加わったのだから、前田健太はすでに球史の一部だ。ただ、ひとつ気になるのは、ロジャース(13年間で通算158勝)とヴァレンズエラ(18年間で通算173勝)を除いた3人の投手人生が、長い目で見るといまひとつだったことだ。
フェリスは、実働6年で65勝30敗の成績だった。ミラーは1年の空白をはさんで16年投げたが、105勝103敗の成績で終わった。シンプソンも、実働6年で36勝31敗。先発完投による肩や肘の酷使がこたえたことは想像に難くないが、前田には彼らの轍を踏んでほしくない。
むしろ彼が目指すべきは、QSの継続だろう。過去の大投手ならば、ボブ・ギブソン('67~'68年)の連続26試合やグレッグ・マダックス('97~'98年)の連続21試合。最近の例でいうなら、クリス・カーペンター('05年)の連続22試合やジェイク・アリエータ('15~'16年。継続中)の連続24試合。
このあたりが目標値だが、もし今季、前田の連続QSが20を超えてくるようなら、世間は騒然となるだろう。仮に連続記録が途切れても、シーズン全体で20を超えたら堂々たる数字だ。そうなれば、新人王やサイ・ヤング賞の獲得も現実味を帯びてくるにちがいない。とりあえずは一歩ずつの前進だ。