野球のぼせもんBACK NUMBER
「九州に根ざした」球団として。
ホークスと選手たちの震災支援。
posted2016/04/27 07:00
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph by
NIKKAN SPORTS
「がんばろう熊本 九州はひとつ」
「がんばろう! 九州」
先のホークス戦でヤフオクドームの外野スタンドに大きな横断幕が掲げられた。
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九州の人間は、地元意識が特に強い。筆者は熊本市で生まれ育った。あの頃、たとえば甲子園。一番に応援するのは当然「熊工」や「九学」といった郷土のチームである。しかし、敗退すると必ず「じゃ、九州勢を応援するばい」「あとは(九州の他県で)どこが勝ち残っとーと?」などといった会話が自然と生まれ、変わらぬ熱量で応援をする。周りの友達も、大人たちも、ほとんどがそうだった。
しかし、大学4年間を関東で過ごし、初めて九州以外のあらゆる文化と触れると、その感覚が特殊だと周りから教えられた。
驚いた。だが、それ以上に、自分たちの地元愛に誇らしさを覚えたものだ。そういえば学生当時はまだファイターズが移転をする前だったので、東京ドームへホークスの応援によく通った。左翼席へ一緒に足を運ぶのはやはり同じ九州出身の友人だ。つい方言が戻る。ある時、後ろの列のサラリーマン風のおじさんから「兄ちゃん、どこね?」と声をかけられた。「熊本です」。すると「そうね!」と嬉しそうに、ビールを一杯奢ってもらったのはイイ思い出だ。
支援の輪はプロ野球界にも。
4月14日の夜、熊本を最大震度7の揺れが襲った。それが、まさか前兆だったことを、後で思い知るとは……。
16日の未明にはマグニチュード7.3の大地震。見慣れた街並は一変した。あれから数日間は息を止めるようにテレビ画面を見入った。
東日本大震災から5年。東北もまだまだ復興途上だが、熊本や大分を支援する輪もあっという間に広がりを見せている。
プロ野球界の動きも早かった。全国の各球場で募金活動が行われている。敵味方関係なく募金箱を持って立つ選手たち。各12球団や選手会、NPB、審判団、たくさんの野球ファンからの温かい支援が集まっている。