野球のぼせもんBACK NUMBER
「九州に根ざした」球団として。
ホークスと選手たちの震災支援。
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2016/04/27 07:00
本震の翌日、4月17日の試合前にヤフオクドームで選手たちによる募金呼び掛けが行われた。
ホークス・内川が流した涙の意味。
そして九州唯一のプロ野球チーム、福岡ソフトバンクホークス。
最初の大きな地震の翌日の15日、ホークスの内川聖一はヒーローインタビューで人目をはばからず涙を流した。
「避難している姿を見ると、やっぱりこういうことはあってほしくないと思いました。そして僕も一人の子どもを持つ父親です。子どもを抱えながら、避難して一生懸命生きる姿を見ると、本当にこういうことはあってほしくないという思いになりました」
内川は大分県出身。この時点では、まだ大分に大きな被害はそれほど確認されていなかったが、九州に生まれ育った男が流した涙の意味は、心に突き刺さるほど伝わってきた。
動き出した支援プロジェクト。
22日、ホークスは「熊本・大分地震災害復興支援プロジェクト」を発足させた。
すでに義援金と、地震の影響で中止となった16日の本拠地試合で来場者に配布予定だったタオル5000枚も福岡市を通じて被災地に送ったが、球団と選手会が協力して支援物資の提供・募金活動を継続的に行うことや、被災地域の方の観戦招待、選手による被災地訪問などを想定している。
キャプテンの内川や選手会長の長谷川勇也からは「スケジュールの都合上、可能ならばシーズン中でも足を運びたい」と球団側へ意向が伝えられているという。
また、5月5日にはウエスタン・リーグの試合を熊本県八代市で開催する予定だったが、地震の影響を考慮して中止となることが25日に決まった。そして、この試合は会場を福岡県筑後市の「タマスタ筑後」に移して「熊本・大分 地震災害復興支援チャリティーマッチ」(12:30開始、対バファローズ)として行うことも同時に発表され、入場料全額(年間指定席分を除く)を被災地支援義援金として寄付する取り組みも明らかになった。