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東大・宮台康平は本当に一流なのか。
“勉強と両立させた野球”の副作用も。 

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安倍昌彦

安倍昌彦Masahiko Abe

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2016/04/27 10:30

東大・宮台康平は本当に一流なのか。“勉強と両立させた野球”の副作用も。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

昨年は連敗を史上ワーストの94まで伸ばしてしまった東大野球部。好投を続ける宮台も、今季は実は白星はまだない。

早稲田、明治という格上相手に2週連続の好投。

 4月9日、早稲田大1回戦。

 東京大・宮台康平はアベレージ140キロ前後の直球を武器に、早稲田大打線を8回まで無失点に抑え、9回に早大・三倉進外野手のサヨナラ安打で惜しくも敗れるまで、奪った三振は13個を数えた。

 さらに翌週16日の明治大1回戦に先発した宮台康平は、やはり打者の手元で伸びる速球と、同様にホームベース上で変化するスライダー、チェンジアップを駆使。明治大を9回一死まで無失点に抑えたが、柳裕也投手にサヨナラスクイズをきめられ、2週連続の惜敗に涙を飲むこととなった。

 この2戦のピッチングは「お見事!」のひと言に尽きた。

 ストライク先行。

 そのファーストストライクがしっかり指にかかった速球で、しかもきびしいコースを突いてくるから、狙って打っても打ち負ける。

 さらに、球質。

 半身の姿勢が使えて、そこから一気に腕を振る。しかもその腕の振りがしなるから、打者の感覚からすれば、鼻先でボールを放されているような手詰まり感だ。ウイニングショットのクロスファイアーなんか、右打者が飛びのいて、それが「ストライク!」になっている。

 加えて、マウンド度胸。

 単なる“威勢のよさ”じゃない。相手打者の技量を推し測り、自分のその日の球威とてんびんにかけて、「こいつにはこのぐらいのボールを投げておけば大丈夫……」。そんな計算が常にあって、それがほぼ「正解」だから不安がない。マウンドから平然と打者を見おろしながら、根拠のある攻めで淡々と答えを出していく。

学生球界で、全国トップクラスのサウスポー?

 これだけのサウスポー、全国にだってそんなにいないんじゃないか……。

 記憶をめぐらせてみる。

 北海道の学生野球から、東北、関東。

 スピードとパワーなら、神奈川大に濱口遥大がいる。中部、関西、中・四国……九州までさらってみたが、名前が出ない。

 資料を繰ってみる。1年生は入ったばかりだから外して考えて、2年から4年まで学生球界の全学年をほじくり返してみても、並んでくる名前が見当たらない。

 ならば、学生球界トップクラスのサウスポーなのか。

【次ページ】 9回を投げた3日後の登板では……。

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