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桜花賞馬ジュエラーは「ぼくの家族」。
デムーロが果たした3世代GI制覇。 

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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photograph byYuji Takahashi

posted2016/04/11 11:10

桜花賞馬ジュエラーは「ぼくの家族」。デムーロが果たした3世代GI制覇。<Number Web> photograph by Yuji Takahashi

ジュエラーとシンハライトの差は2cmだったという。スタートから焦らず、瞬発力勝負に持ち込んだことが功を奏した。

デムーロはネオユニヴァースから親子3世代でGI。

 自身にとってはもっともキツい競馬になりながら、それほど差のない4着に来たのだから、やはり強い。

 巻き返しの舞台がオークスになるかNHKマイルカップになるかは、田村康仁調教師によると、今後の状態を見てから決めるとのこと。

 メジャーエンブレムが不完全燃焼に終わったのに対し、ミルコ・デムーロのジュエラーは完全に能力を出し切った。

 前走のチューリップ賞では直線でシンハライトとビッシリ叩き合い、今回とは逆に鼻差の2着に敗れていた。本番では同じ轍を踏まぬよう、外から一気に差を詰め、最後のつばぜり合いでギリギリ競り落とした。トライアルを試走として見事に使い、栄冠をつかみとったわけだ。

 デムーロは、ネオユニヴァースで2003年の皐月賞とダービーを制している。その産駒のヴィクトワールピサで'10年の有馬記念と'11年のドバイワールドカップを優勝。そして、孫のジュエラーでこの桜花賞を勝ち、「ぼくの家族です」と笑顔を見せた。ひとりの騎手が親子3世代の馬でGI(級)を勝った例は、日本では、河内洋調教師がアグネスレディーで1979年オークス、その娘のアグネスフローラで'90年桜花賞、その子のアグネスタキオンで'01年の皐月賞を勝ったぐらいではないか。

 ジュエラーにわずかに及ばず、無敗の桜花賞馬になれなかったシンハライトもかなりの器だ。父ディープインパクト譲りの成長力が、オークスでは大きな武器になるだろう。

福島競馬場では、藤田菜七子がJRA初勝利。

 さて、この日は福島競馬場でもフレッシュな「女の子」が輝いた。第9レース、ダート1150mの500万下で、藤田菜七子が待望のJRA初勝利を挙げたのだ。

 3月5日のJRAデビューから51戦目。'04年6月20日に増沢(旧姓牧原)由貴子が勝利して以来12年ぶりとなるJRA女性騎手による勝ち鞍をマークした彼女の目には涙があった。

 目標としてきたゴールが次への一歩目となるのが騎手という職業だ。2勝目、3勝目と勝ち鞍を重ねながら、特別レース優勝、重賞制覇、そしてGI……と、ステップアップしていく姿を見せてほしい。

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