マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
選抜は個性派の二塁手が盛り上げた!
高松商、大阪桐蔭、智弁学園の凄い3人。
posted2016/04/05 10:30
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
NIKKAN SPORTS
この春のセンバツの少し前、あるラジオの番組で大会の展望についてお話をさせていただいた。
事前の打ち合わせで「センバツ注目の野手は?」と問われ、ある二塁手の名前を真っ先に挙げた。
「二塁手……ですか?」と問い返されて、「二塁手じゃダメですか?」と確かめた。すると、
「ダメじゃないけど、地味ですね」
と笑って返された。
高松商業高・二塁手・美濃晃成。
「ポジションは地味ですけど、プレーは派手ですよ。朝青龍みたいな野球やりますから」
「朝青龍が野球やるんですか……」
見たことのない人にはわからない話をしてしまった、と思った。
美濃晃成が“朝青龍”であることは、去年の秋の「明治神宮大会」を見てわかっていた。
派手な守備、キップのいい打席での姿勢。
170センチ66キロ。
サイズは小さいが、試合前のシートノックから、もうやりたい放題だ。
二塁ベース寄りの打球をバックハンドでさばいたかと思えば、一塁ベース寄りの打球は半身の姿勢で捕球して、そのまま一塁側に体を流しながら、しなやかなサイドハンドから一塁へノンパワーのストライクスロー。
ゴロ処理の“TPO”がわかっている。
前に緩いゴロが転がれば、一か八かで突っ込むように見せていつの間にかバウンドを合わせ、そこからジャンピングスロー。
これ見よがしのスタンドプレーじゃない。一塁手の目よりちょい上ぐらいの高さに、捕りやすいボールをフワッと投げる技術と気遣いがある。
バットを持って打席に入れば背中をまっすぐに立て、上体を大きく反るようにして伸びをすると、そのまま悠然と構える。
そのキップのよさが“朝青龍”だ。