フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
世界フィギュア女子は意外なトップ3。
ゴールド首位で米国人10年ぶり女王!?
posted2016/04/01 17:00
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph by
Yusuke Nakanishi/AFLO SPORT
現地時間3月31日、ボストンで開催されている世界選手権の女子SPは、予想外の展開となった。
トップに立ったのは、20歳のグレイシー・ゴールド。2位がロシアの17歳アンナ・ポゴリラヤ、3位が同じくロシアの16歳、エフゲニア・メドベデワだったのだ。
予感が全くなかったわけではない。過去四半世紀を振り返ると、1992年のオークランド世界選手権から、2009年のロサンゼルス世界選手権まで、米国で開催された世界選手権は4回。そのうちの3回で米国の女子が優勝しているのだ。
地元開催の選手が普段以上の力を発揮するのはよくあることだが、米国の選手は特にその起爆力が強いように思える。
だが2006年を最後に過去9年間米国女子が世界の表彰台を逃してきたため、「女子の日照り続き」と言われ今回の女子には大きな期待とプレッシャーがかけられていた。
共に自己ベストを更新したワグナーとゴールド。
38人中31番目の滑走だったアシュリー・ワグナーが3フリップ+3トウループを含むジャンプを完璧に降りて73.16という自己ベストスコアを更新。「いよいよ来たな!」と思っていると、隣に座っていたアメリカ人の記者が、「アシュリーの調子が良いときは、グレイシーも良いんだよ」と囁いた。ライバル意識が、お互いのモチベーションを刺激し合うのだろう。
案の定、最後から2番目だったグレイシー・ゴールドは、一世一代の素晴らしいSPを見せた。タンゴのメロディにのって3ルッツ+3トウループを思い切りよく跳び、76.43という女子歴代5番目に高いスコアで自己ベストを更新したのである。
もともとジャンプもスピンも教本のように質が高いと言われていたゴールドだが、唯一にして最大の欠点が試合でなかなかノーミスの演技ができないことだった。その彼女が完璧に滑りきったとき、ジャッジは気前よく高いスコアを与えたのだ。