ラグビーPRESSBACK NUMBER
エディーHCのイングランド全勝優勝。
「影響を受けた2人の指導者は……」
text by
竹鼻智Satoshi Takehana
photograph byGetty Images
posted2016/03/26 10:50
日本の歴史を変えたエディーは、イングランドでも大成功を手にした。その能力の源は何なのか。
「ゲームプランよりも、いかにチームを強くするか」
――選手たちは結果を出し、良いパフォーマンスを見せた。6月に予定している豪州遠征は、今大会のメンバー中心で臨むのか。
「今大会に怪我で出場できなかった選手や、怪我から復帰したばかりで大きなインパクトを残せなかった選手にも、十分メンバー入りのチャンスはあります。チームとして全体的にまだまだ向上する必要があり、そのためにはまだまだ新しい選手にも出てきて欲しいですね。
今大会を戦った選手たちは、戦術理解については悪くありませんが、全体的にスキルレベルを向上させなければなりません。フィットネスについては、開幕時に比べると30%は上がりました。これはまさにトレーニングの賜物です。練習時間はせいぜい1セッション45分程度で、1日に2セッション以上はやりませんが、毎回集中して強度の高いトレーニングをしてきました」
――豪州遠征でのゲームプラン、注目している選手などは。
「ゲームプランは欧州のチームを相手にした試合とは変わってきますが、今はゲームプランというより、いかにチームを強くするかを考えています。豪州を相手に3試合テストマッチを戦い、全勝するのが目標です。そのためには、全ての面でレベルアップしていかなければなりません。
注目しているのは、マヌ・ツイランギ(センター)ですね。典型的なサモア出身の選手で、ボールを手に走り回り、激しい接触プレーを好むタイプ。シックス・ネーションズは負傷による長期離脱から戻ってきたばかりでフル出場した試合はありませんが、間違いなく注目すべき選手の1人です」
監督のアプローチは違えど、目的は同じ。
――イングランド代表監督としても結果を出し、名将の名に違わぬ手腕。自身の監督としてのキャリアに影響を与えた監督は。
「私が選手時代に指導を受けた2人の監督の影響は大きいですね。1人は、1991年の豪州代表W杯優勝時のボブ・ドワイヤー監督。私はランドウィックというクラブで彼の指導を受けたのですが、細部にまでわたる緻密なコーチングと、ラグビーというゲームに対する根本的な理解の仕方には多くを学びました。彼とは今でも話しますよ。何かに大きく迷った時などは、彼に相談したりします。
もう1人は、ジェフ・サイル監督(多くの豪州代表を輩出した元ランドウィック監督)。技術的な面よりも、チームが機能する上での環境作りに長けた、人間的に素晴らしい監督。選手たちは、この監督のためにプレーしたいと感じ、実力を最大限に発揮する。この2人は全く違うタイプの監督で、アプローチも全く異なりますが、チームを勝たせるという目的は同じです」