オリンピックへの道BACK NUMBER
全英OP制覇、世界選手権メダル……。
日本バドミントン、驚異的躍進の背景。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byXinhua/AFLO
posted2016/03/21 10:30
昨年末のワールドスーパーシリーズファイナルズで、桃田賢斗と奥原希望それぞれが日本人初のシングルス優勝を果たした時の2ショット。
アテネ五輪の屈辱が快進撃のはじまりだった。
これらの強化策の背景には、過去の屈辱がある。
2004年のアテネ五輪に男女の合計でシングルス5名、ダブルス4組が出場しながら、わずか計1勝に終わったのだ。
衝撃だった。オリンピックというふだんにはない注目が集まる場での不振に、このままでは数多くの競技の中で埋没するという危機感があった。それがバドミントン界全体の大きな改革をもたらした。その後も変わらぬスタンスを保ちながら、進んできた。
とりわけ、目先、つまりシニアのひと握りの強化にとどまらず、小中学生にまで目を向け育成を図った施策が、現在の活況に結びついている。
アテネ後のオリンピックは、北京五輪で末綱聡子・前田美順組の準決勝進出があり、ロンドン五輪では女子ダブルスで藤井瑞希・垣岩令佳組が、日本初のメダルとなる銀メダルを獲得した。
そして迎えるリオデジャネイロ五輪。
オリンピックでは女子ダブルスの成績が先行してきたが、あらゆる種目で実績を積み上げて臨む今回は、日本バドミントン界にかつてないほど期待が集まる大会となる。