プロ野球PRESSBACK NUMBER
ライオンズ躍進のポイントは若手。
“おかわり二世”山川穂高に期待!
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2016/03/21 10:40
3月10日の日ハム戦で本塁打を放つ山川。二軍では2年連続2桁本塁打を記録、オープン戦でも好調だ。
昨季、出番がなかなか巡ってこなかった不運。
山川はルーキーイヤーには一軍で14試合に出場。ファームでも21本塁打を記録するなど、順調なプロ野球生活をスタートさせた。しかし2年目の昨年、開幕一軍を果たすものの、4月1日には二軍へ降格。その後、9月に再び一軍に登録されたが、1試合のみの出場に留まった。
右、左の違いはあるが、昨年は2年目の森友哉が大ブレイク。本家の中村も好調を維持しており、メヒア、中村と守備位置が同じ山川には出番がなかなか巡ってこなかった。同時に豪快なバッティングや、長打力をセールスポイントにするバッターが多い西武の稀有な選手層もあって、山川の長所が埋もれてしまう不運さもあった。
山川は振り返る。
「昨年、二軍にいるときは『よし、行けるぞ』と前向きに打席に立てる日と、逆に弱気になってしまって打席に向かう日があって、気分にムラがあったと思います」
「中村さんのように力みなく振るのが理想」
一日も早く一軍に上がりたい。そんな思いが焦りを生んだ。結果が出なければ、ヒットや本塁打を打ちたくて体に力が入る。練習では仕留められる甘いボールも、試合では打ち損じてしまう。その繰り返し――。
本来は明るく、人懐っこい気質だが、そんな山川の表情が曇る日々が続いた。
「中村さんのように力みなく振るのが理想なんですけど、それは練習で習得できるものではないんですよね。自分の思い描いた通りにバットが出れば、力む必要はありません。力みの原因は気負いだったり、精神状態が大きくかかわっていると思います。まずはいいコンディションで、自信を持って打席に立つことが大事。
もちろん3年目ということで結果を出さなければいけないという焦りはありますし、その危機感が野球をやる上で大事だということもわかっています。でも、がっつき過ぎるとうまくいかないと昨年、痛感しました。今はゴールだけを見て、シンプルに野球をしたいです」