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グアルディオラが21歳DFに公開説教。
戦術の不理解は「最大の罪」なのか。 

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木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

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photograph byGetty Images

posted2016/03/09 10:40

グアルディオラが21歳DFに公開説教。戦術の不理解は「最大の罪」なのか。<Number Web> photograph by Getty Images

試合後、キミッヒのもとに詰め寄ったグアルディオラは激昂。周囲も唖然としていた。

レーブが「ベストゲーム」と絶賛した戦いの果てに……。

 がっぷり四つの膠着は、後半も高いレベルで続く。相手がボールを持てば、ロッベンやロイスといったワールドクラスの選手たちが本気で追いかけ回し、その圧力がボール保持者の空間と時間を奪ってミスが生まれる。両者がシステムを合わせた「ミラーゲーム」は退屈になるイメージがあるが、その常識はまったく当てはまらなかった。

 観戦に訪れたドイツ代表のレーブ監督は「今季のベストゲーム」と絶賛した。

「狂わんばかりのテンポ、信じられないスピード、卓越した技術。すべてのレベルが高かった」

 両チームともに限界を越えてプレーし、後半44分、ついに34歳のアロンソが足をつらせて地面に倒れこんでしまう。ペップはすぐさまセンターバックのベナティアを呼んで、アロンソとの交代を告げた。

 このとき最大の見所は、アロンソが担っていた特別な役割を誰が引き継ぐかだった。

 ベナティアはピッチに入るとキミッヒに何かを伝え、キミッヒが一列前に上がった。5バックの中心という大役を、21歳が任されたのだ。

キミッヒは5バックを理解できていなかった。

 しかし、キミッヒはここで大きな過ちを犯してしまう。相手が攻め込んで来ているのにもかかわらず、ビダルと横に並んでダブルボランチとしてプレーしてしまったのだ。それまでアロンソの絶妙な動きによって形成されていた「5バック」が、最後の最後で「4バック」になってしまった。最も大事なヘソの部分がなくなってしまったのである。

 映像を見返すと、このときペップがライン際で、両手を振り上げて大声を張り上げている。しかし、8万人で満員となったヴェストファーレンシュタディオンでは声は届かない。

 結局、アディショナルタイムは1分しかなく、突然生まれた不均衡はわずか40秒で終わった。もしあと2、3分ゲームが続いていたら、劇的なゴールが生まれていたかもしれない。

 わずか1mの立ち位置の違いが勝負を決する。きっとペップは、このミスをいち早く伝えるべきだと考えたのだろう。まずは伝令役となったベナティアに詰め寄って何か言葉を発し、続いてキミッヒに食いかかった。どこに立つべきだったかを示すかのようなジェスチャーとともに、感情を爆発させた。

【次ページ】 相手の分析は、自分たちの良さを最大化する作業。

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