球道雑記BACK NUMBER
今年のオリックスは快進撃の予感。
カギを握るのは2年目左腕・山崎福也。
posted2016/02/22 12:40
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph by
NIKKAN SPORTS
誰もいなくなった夕焼けが差し込むブルペンでオリックスの2年目左腕・山崎福也は、投手コーチの酒井勉とマンツーマンで何度も同じ動作を確認していた。
2人の間で交わされていたやり取りまでは、さすがに聞き取ることはできなかったが、その熱を帯びた指導の様子から見ても、首脳陣が今年の山崎にかける期待の大きさが分かった。
指導が終わると、山崎はその練習内容を簡単にだが説明してくれた。
「(リリース時の)軸足の使い方ですね。あまり大回りしないようにというか、内側をピシャっと締める意識で……」
練習中、ボールを受けた酒井コーチの首は何度も縦に揺れた。
「いい軌道、いい球質で(ボールを)投げられていると感じました」
この指導でよほど手応えを感じたのだろう。そう言うと山崎は、ほんの少しだけ表情を崩して見せた。
この指導が行われた4日前(2月14日)の広島東洋カープとの練習試合で、3番手で登板した山崎は3回を2安打無失点に抑える好投を見せ、2016年の先発ローテーション入りをアピールした。
「下半身始動の良いフォームになってきた感じがしますね」
もう一人の投手コーチである小林宏も、山崎の成長を称えた。
山崎が先発定着すれば……ソフトバンクも脅かせる!
オリックスの先発陣に山崎が定着できれば、チームの投手力は昨年と比べて格段にアップする。
開幕戦登板が有力視されるエースの金子千尋、昨年のパリーグ投手成績2位で日本代表の常連になりつつある西勇輝、プロ2年目にして二桁勝利をあげ大きく飛躍を遂げた東明大貴、この3年間、10勝まであと一歩届かずも通算防御率2.89と安定した投球が計算できるブランドン・ディクソン、彼ら4人の右腕の他に2014年に8勝1敗の成績をあげて日本代表にも選ばれた経験がある松葉貴大……と、山崎がここに加われば、昨年5位からの上昇はもちろん、優勝まであと一歩だった2014年を超える快進撃が期待できる。
王者福岡ソフトバンクを脅かす存在にも当然なるだろう。