球道雑記BACK NUMBER
今年のオリックスは快進撃の予感。
カギを握るのは2年目左腕・山崎福也。
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2016/02/22 12:40
ルーキーイヤーは17試合登板の3勝6敗、防御率4.53に終わった山崎。昨年末の契約更改交渉の折には「来年は倍以上、10勝近く勝ちたい」と宣言した。
ルーキーイヤーの昨年、なぜ1軍定着できなかった?
しかし、広島との練習試合でボールを受けたキャッチャーの伊藤光の感想はちょっと辛口だった。
「結果は3回無失点でも、内容としては3回中2回、先頭打者を出しているのでそういうところはまだまだかなって思いました。イニングの先頭打者を抑えるのは野球の基本ですし、そこをもう少しなんとかできないと……。これはバッテリーを組んだ僕も含めた今後の課題だと思っています」と反省の弁を口にした。
ルーキーイヤーだった昨シーズン、山崎は開幕ローテーション入りを果たしたものの不用意な投球をきっかけにリズムを崩し、失点を重ねる試合が何度となくあった。年間を通して1軍定着ができなかった理由もここにある。
「(オープン戦では)打たれたりするのは全然いいんですけど、(山崎が)良くないときはフォアボールばかりで崩れる負けパターンが出来ていたので……。そこをなんとかしたい。(山崎)福也は三振をいっぱい獲るようなピッチャーではないんですよね。打たせて取るとか、いつでもストライクが取れる変化球が多く投げられるとか、そういうピッチャーなので……。そこをもっとこだわってほしいと思っています」
伊藤のこうした言葉は、もちろん山崎への期待の大きさからだった。
さらに伊藤は続ける。
「でも今回、走者を出しても(ホームに)返さずに(ベンチに)帰ってこられたのは、彼の成長だと思います。マウンドでも攻める気持ちが見えていましたし、そこは(昨年と違って)良かったと思っていますね」
そんな伊藤の言葉に、山崎が応えて見せたのはそれから数日後の2月21日に行われた韓国・斗山との練習試合だった。
韓国代表選手に対して3回1安打無失点無四球!
山崎にとって、斗山戦は昨年の自分と今年の自分を比較する良いバロメーターだった。
昨年もこの時期に行われた斗山との練習試合では3回5失点の大乱調で、即2軍での再調整を言い渡されている。
しかし、今年は違う。
斗山のラインナップには、昨年のプレミア12韓国代表に選ばれたホ・ギョンミン、ミン・ビョンホン、ヤン・ウィジら5人の選手たちが並んでいたが、そんな斗山打線を相手に山崎は、終始ストライク先行の投球で3回1安打無失点、それも無四球で相手打線を封じ込んだのだ。
その姿はまるで相手を見下ろしているかのような堂々としたものだった。