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デビュー最短、最速でGIレコード勝ち。
モーニンはダート世代交代の旗手か。
posted2016/02/22 11:20
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Yuji Takahashi
今年最初のJRA・GI、第33回フェブラリーステークス(2月21日、東京ダート1600m、4歳以上GI)を制したのは、ミルコ・デムーロが騎乗した2番人気のモーニン(牡4歳、父へニーヒューズ、栗東・石坂正厩舎)だった。
勝ちタイムはコースレコードの1分34秒0。1馬身1/4差の2着はクリストフ・ルメールが手綱をとった1番人気のノンコノユメ、3着は7番人気のアスカノロマンだった。
前日からの雨でダートは重。脚抜けがよく、時計の出やすい馬場状態だった。
こうなると、前に行った馬も簡単には止まらない。パワーだけではなく、スピードも求められる。
ベストは1400mと言われ、距離が不安視されていたモーニンにとっては、かえって、おあつらえ向きのコンディションになった。スタートこそ速くなかったが、そこから楽に好位の5、6番手につけ、直線、鋭く抜け出した。栗東の坂路で行われた最終追い切りで、ラスト1ハロン11秒8という、その日の最速ラップを記録したように、終い重点の調教が奏効した部分もあったのだろう。
オグリキャップの芝1600に引けをとらないタイム。
それにしても、1分34秒0という勝ち時計も、ノンコノユメが繰り出したラスト3ハロン34秒7という脚も、ひと昔前なら芝でも速い部類に入るタイムだ。
例えば、1990年に引退した「白い怪物」オグリキャップは、中央入りしてから芝のマイルで4戦4勝の成績を残しているが、勝ちタイムは1分35秒6、1分34秒0、1分34秒6、1分32秒4だった。最後の1分32秒4は'90年の安田記念で記録したタイムで、13年破られなかったコースレコードである。
ちなみに、昨年のフェブラリーステークスの勝ちタイムは1分36秒3、一昨年は1分36秒0と、今年とは2秒ほども違った。
日本のダート競馬もスピード化が進み、新次元、新時代に突入した、ということか。
ダート競馬の「本場」アメリカも、日本の芝並みに時計が速い。日本のダートが砂であるのに対し、アメリカのそれは土と言うべきもので、クッションが利いて脚元に優しいわりに、引っ掛かりと反発力があるのか、スピードが出る。