プロレスのじかんBACK NUMBER
ベルトを巻かない王者・柴田勝頼。
限りあるプロレスラー人生を思う。
text by
井上崇宏Takahiro Inoue
photograph byEssei Hara
posted2016/02/16 10:40
「トップの人間がひとり消えた。それをチャンスと捉えないヤツはプロレスをやめたほうがいい」と語る柴田。
「ケツの青い先輩たちがなんか言ってる」
「第三世代のね、ケツの青い先輩たちがなんか言ってる。そうだよなと思う。でも、『言うのは簡単だけど、実際にやって証明してみろよ』と思いますね。俺が新日本を離れるとき、当時の社長が踏み台扱いをしていた人たちですよ。10年経って帰ってきたら、そんな踏み台にもなっていないんじゃないかと感じる部分がある。新日本のトップと言われてるオカダ、棚橋、中邑らがあまり触れたくない部分だったんじゃないか。『俺、あの人たちとはもういいっス』みたいなさ。でも俺からしたら、あの人たちは先輩だよ。棚橋なんか、あんなに『愛だ、愛だ』と言ってるくせに、意外と選手には愛がない。いくら暗黒時代を支えてきたって言ったって、第三世代がいての現在というのもあるわけだよ。棚橋よ、愛をとりもどせ。おまえは少し違うところに愛を振りまきすぎちゃってる」
まずは第三世代との真っ向勝負、そして介錯すること。
それがケツの青い後輩が見出した、オカダや棚橋にはできない、新しいNEVER無差別級王座の闘いである。
それは、残された、限りのあるレスラー人生の過ごし方としての、ある1つの選択であった。