Jをめぐる冒険BACK NUMBER
“美味しい時間”を譲っての12ゴール。
34先発で33回途中交代した佐藤寿人。
posted2015/12/08 11:30
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
Kiichi Matsumoto
総合力の勝利――。
ガンバ大阪とのJリーグチャンピオンシップ決勝を制したサンフレッチェ広島の優勝は、こんな風に称えることができるだろう。
第1戦では途中出場の浅野拓磨、柏好文、山岸智の3人が決勝ゴールをもたらした。
1-1に追いつくドウグラスのゴールをお膳立てしたのも、浅野と柏のふたりだった。
その浅野と柏は、第2戦でもG大阪を突き放す同点ゴールを生み出している。
ケガ明けの水本裕貴に代わって先発起用され、第1戦で同点ゴールを決めたDF佐々木翔も含め、広島の選手層の厚さ、控えている選手の質の高さが際立つ2連戦だった。
「みんなの力で取れた優勝だと思っている」
キャプテンの青山敏弘はこう言って、胸を張った。
「途中出場の選手が結果を出すのは、チーム力がある証拠。それを示せたと思う。結果がすべてですが、そこに至るプロセスも大事。このチームは本当に日本で一番練習していると思うし、その質も高い。そこには自信があります」
青山とダブルボランチを組む森崎和幸も、同調するように言う。
「僕はこのチームに16年在籍していますけど、練習での競争が一番激しかったシーズンだったと思います。大げさかもしれないけど、練習のほうが(試合よりも)激しいぶつかり合いがあって、そういうのを1年間やってきたことが結果に繋がったと思います」
寿人「これほど良い練習ができているチームは……」
試合よりも練習のぶつかり合いのほうが激しいとは、簡単に言える言葉ではないだろう。それが決して誇張したものでないことは、佐藤寿人の言葉からも分かる。広島一筋の森崎とは異なり、これまで4チームを渡り歩いてきた佐藤も、こんなことを言っている。
「今シーズンはチーム内での競争が激しく、練習のクオリティも高かった。僕自身、プロで16年やっていますが、これほど良い練習ができているチームはないというぐらい。そのおかげで、今日も自信をもって臨めました」