One story of the fieldBACK NUMBER
プロ1年目にダルビッシュと自主トレ!?
超一流に学ぶ藤浪晋太郎の肉体革命。
posted2015/12/04 10:50
text by
鈴木忠平Tadahira Suzuki
photograph by
Hideki Sugiyama
正直、今年中に大記録が生まれると予想していた。阪神藤浪晋太郎がノーヒッターになる日は近いと思っていた。シーズン途中からそれほどの力を感じた。
残念ながら、予想は外れたが、懲りずに思っている。
来シーズンは絶対に……。
そして、その確信は、今、タイガースの舞台裏で着々と進められている改革と無関係ではない。
就任直後、金本知憲監督は担当記者との取材の中でこう言った。
「筋肉で体重を増やすというね。俺は本当はそれを求めている。ダルビッシュみたいにごっつい体になって。筋肉量を増やすと、スタミナも出るらしいからね、ダルビッシュは先発の日でもベンチプレスをマックスでやるらしい。彼には求めるものが違う。別次元のものを求めたいから。野手で言えば3割30本じゃなしにね。3割5分、50本ぐらいのね」
新監督のもと発動した“藤浪鉄人化計画”。
「彼」とは藤浪のことだ。プロ野球記者の流儀で言えば“藤浪鉄人化計画”である。
藤浪だけではない。伝統球団の改革を託された指揮官はまず、アスリートの根幹であるトレーニング部門に着手した。
では、どう改革するのか。球団のトレーニング部門スタッフはこう説明する。
「大きなテーマで言えば、原点に返るということですかね。今はいろいろなトレーニング方法が出てきていますが、本当に効果のあるものは何か。そういう部分に戻ろうということなんです」
現役時代、金本監督は高負荷、高重量のトレーニングで筋肉の鎧をまとっていたというイメージが強い。その肉体が37歳で40本塁打、13686イニング連続出場という偉業の礎になったのは有名だ。
現在は動きの中で筋力を鍛える方法、低負荷や低重量など様々な“流行”のトレーニングが出てきている。だが、本当にすべての選手に効果があるのか。自身の経験に裏付けられた1つの方法論として、すでに選手たちには金本流のトレーニング方法が伝えられたという。そんな中、選手の中でも特にフィジカルトレーニングに強い関心、こだわりを持っている1人が藤浪だと思う。