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プロ1年目にダルビッシュと自主トレ!?
超一流に学ぶ藤浪晋太郎の肉体革命。 

text by

鈴木忠平

鈴木忠平Tadahira Suzuki

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photograph byHideki Sugiyama

posted2015/12/04 10:50

プロ1年目にダルビッシュと自主トレ!?超一流に学ぶ藤浪晋太郎の肉体革命。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

2015年シーズンは28試合に登板し、14勝7敗、防御率2.40。3年連続二桁勝利、200奪三振を達成するなど、名実ともに阪神のエースとして活躍した。

自ら志願したダルビッシュとの極秘自主トレ。

 それを実感したのは入団1年目を終えた、2013年末のことだった。もう“時効”だと思うので、書かせてもらう。じつは、この年のオフ、藤浪はダルビッシュと共に自主トレを行なっていた。

 すでに大リーグ屈指のエースとなっていた右腕がどんな肉体改造をしてきたのか。藤浪はそれが知りたかったという。他球団の、しかも面識のないビッグスター。逡巡が生まれて不思議ではない。だが、当時、弱冠19歳の藤浪はそれをためらわず、関係者を通じて門をたたいたのだ。

「どんなトレーニングをしているのか、どんな食事をしているのか、いろいろ聞いてみたかったんですよ。自分が思っていた通りのこともありましたし、知らないこともあった。行って良かったです。ただ、事前に公表すると、騒ぎになるかなと思ったので……」

 当時、藤浪はこう言った。

 東京都内で極秘裏にセッティングされた合同トレ。藤浪は世界でもトップの投手に触れた。そして、トレーニング終了後、ダルビッシュは関係者に藤浪という選手の印象をこう語ったという。

「頭のいい選手ですね」

鉄人×怪物が生み出す化学変化。

 ダルビッシュ、昨オフは前田健太……。ここまで一流の門をたたいてきた藤浪が今年は鉄人理論と出会った。

 合うか、合わないか。

 やるか、やらないか。

 それはわからない。

 ただ、藤浪という選手は新人の頃から“2種類”の耳を持っていた。「聞く」と「捨てる」。一流に触れ、自分に合う要素を取り入れることができる。だからこそ、プラスにこそなれ、マイナスになることはないだろうと思うのだ。

 技術革新はもちろんだが、その前にアスリートとして基本の肉体革新を追求する。その姿勢は金本監督にも、藤浪にも、共通して感じる。

 鉄人×怪物……。化学変化とは、いつも、予想だにしない、わくわくするもの同士の融合から生まれる。だれの目にも触れないシーズンオフ。藤浪は静かに、それでいて、ものすごい変化を遂げるような気がしてならない。

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