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スカウト予算はユベントスの5倍以上!
育成王国ウディネーゼの異端戦略。 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2015/12/02 10:40

スカウト予算はユベントスの5倍以上!育成王国ウディネーゼの異端戦略。<Number Web> photograph by AFLO

世代別の代表でもプレーし、既にプレミアやリーガのクラブも狙っているといわれるスクフェット。

今季起こった、突然の「地元志向」の背景は?

 ウディネーゼのプリマベーラ(=ユース)部門は、もう随分と前から、別の大陸から連れてこられた少年たちで溢れ返っていた。

 ところが、今季のチーム編成で、王国の仕入れ先に変化が起きたことを示唆する“事件”が起きた。

 26人の登録選手中、イタリア国内の別地域出身者8人と外国人5人を除く半数の13人が、地元のフリウリ州出身者が占めたのだ。かつては別大陸から連れてこられた少年たちばかりだったことを思うと、突然の変わり様に驚くしかない。

「試合中はフリウリ州の方言が飛び交ってるよ」

 そう言うGKペリサンの出身地は、ウディネから40kmと離れていない。“フリウリのガットゥーゾ”との異名を持つ主将のMFマンニーノは、実家のある町から電車で練習場に通う。

 クラブの宰相たるジャレッタSD(スポーツ・ディレクター)は、原石の発掘先を近場に求めた理由をいくつか挙げる。

「近年、FIFAによる年少選手移籍の制限強化やそれに伴う移籍オペレーションの複雑化、そしてコストの加速度的増大が著しい。これからは、17歳以下の地場出身選手の発掘に力を入れたい。外国人選手のスカウト対象は今後、17歳から23歳に限定していくつもりだ」

セリエA、FIFAの規定は厳しくなる一方。

 今季からセリエAでは、イタリア国籍を有する者や国内の育成組織出身者をトップチームへ一定数登録させる規定が施行されている。また、FIFA規約を侵さずに外国籍の少年選手を入団させるには、勉学のための就学ビザを取得させたり、保護者に定職を用意させたり、あの手この手で抜け道を作らなければならない。コストとリスクは増大する一方だ。ウディネーゼがスカウト予算をケチらないといっても限度がある。

 それに比べれば、育成部門の地元出身者が練習場へ通うための電車やバスの定期券を全員分負担しても、大した出費にはならない。

【次ページ】 育てて売った資金で、スペインや英国のクラブを買収。

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