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松田宣浩が踏み出すべき最初の一歩。
メジャー挑戦の“夢”と“ビジネス”。
posted2015/11/18 10:40
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph by
Nanae Susuki
「知ってるよ。昨日、そういう話を聞いた」
シカゴ・ホワイトソックスのリック・ハーン・ジェネラル・マネージャー(GM)がそう言ったのは11月10日の午後、GM会議が行われていたフロリダ州ボカラトン市内のホテルの一角でのことだ。「マツダ(松田宣浩内野手)という日本人内野手が、フリー・エージェント(FA)になったのを知ってるか?」という問いに対する答えである。
ハーンGMに日本人内野手について尋ねた理由は、ホワイトソックスが過去に日本人内野手=井口資仁(現千葉ロッテ)を獲得した球団だからだ。もちろん、「興味はあるか?」と追って質問する。
「日本人内野手について先入観はない」
「特定の選手についてのことは言えない。ただ、我々はグーチ(井口の愛称)を獲得したこともあるから、日本人内野手について先入観はない」
ホワイトソックスでの2年半で、井口は通算打率.273(1393打数380安打)、39本塁打、34盗塁と活躍し、2005年には88年ぶりのワールドシリーズ制覇に貢献した。当時のホワイトソックス監督、オジー・ギーエンはこう言っている。
「俺にとってはグーチがこのチームのMVPだ。チームのために犠牲になって走者を得点圏に進め、時には一発を放って相手を仕留めたり、自ら出塁して盗塁を決め、得点のチャンスを作る。本当に価値のある選手というのは、そういう選手のことだ」
だから、当時はGM補佐の一人だったハーンGMに「日本人内野手はメジャーで苦戦するケースが多いけれど……」と尋ねると、こういう答えが返ってくる。
「私はそういう質問に答えるには適してない人間だと思うよ。なぜなら私はあの年、グーチがいなければ優勝することはなかったと知っているからね」
さて、ここからが本題だ。