パラリンピックPRESSBACK NUMBER
チーム全員に徹底された“ベーシック”。
車いすバスケ男子日本代表、リオへ。
text by
宮崎恵理Eri Miyazaki
photograph byAFLO
posted2015/10/29 11:00
日本代表キャプテンの藤本怜央(右から2番目)は韓国戦で28得点の活躍。2014年からはドイツのハンブルガーSVでもプレーしている。
トップ選手をベンチに下げられるという強み。
「12人全員が熟知しているから、どういうメンバー構成にしても、その中でやるべきことが明確です。だから、トップ選手だけに頼るのではなく、12人全員で戦える。これが、今回厳しい試合をものにできた要因です」
香西や藤本のシュート力はどの試合でも必要だ。しかし、ここぞ、という局面で存分に力を発揮させるためには、彼らをベンチに下げる時間も重要になる。
藤本は、言う。
「ロンドン・パラまではそれこそ40分間、でずっぱりだった。それでも自分は当然戦える、戦う準備をしていると言い続けてきたけれども、今大会のように12人全員がコートに出ると、やっぱり疲労感が違います。僕とヒロ(香西)が第4クォーターで爆発するために、全員が機能しているというのが、今の日本の強みですよ」
チームを象徴するシュート。
韓国との3位決定戦では、藤本、香西がコートに不在のユニットでの得点が随所で韓国を苦しめた。第4クォーター、残り17秒。藤本にボールが渡る。そのままシュートすることもできた。が、藤本は、途中出場の佐藤聡にパスを出しシュートを決めさせた。ブザー。80ー56で日本が勝利を決めた。
「あのシュートは、今の日本チームの象徴だ」
及川が、振り返る。
車いすバスケの理解力を深めた日本が、12人全員でリオ・パラの切符を獲得したのだった。1年後には、リオの舞台が待っている。
「2020年東京パラで、日本は確実にメダルを獲る。そのためのリオではあるが、リオでベストを出さなければ、その先の成長はない。だから、ピークを合わせて最高のパフォーマンスができるように準備します」