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日本最高のキッカーが語る極意。
中村俊輔のFKはいかに生まれるのか?
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph byTadashi Shirasawa
posted2015/10/27 16:00
37歳の中村俊輔は今季、自らの持つJ1フリーキック最多得点記録を更新し通算20点とした。
「“この感覚面白いな”と思ってFK練習に取り入れる」
「最近プライベートで子供たちとボウリングをやる回数が増えてきて、うまくいかないときは奥じゃなく、手前を見ることで修正することを覚えた。ピンをGK、レーンに記された▲マークを壁に置き換えると“この感覚面白いな”と思ってFK練習に取り入れているし、このときも壁の1カ所だけを見て打つようにしてみた」
続いて第9節の浦和戦で西川周作から決めた芸術的なFKについて聞いた。
ゴール正面約20m。高速スライダー気味の軌道を描いたシュートは右隅に突き刺さった。
このときに意識していたのは西川の「反応からの追い足の速さ」。だからこそ、普段よりもインパクトを速くして、横回転よりもスピードが出やすい「斜め回転」のボールを蹴ったのだ。
そして最後の締めくくりは仙台戦のFK。日本代表GKの六反がほとんど反応できなかった圧巻の軌道だった。このときに中村が考えていたのはGKのタイミングをいかに外すかということだった。壁に入っているフィールドプレイヤーの雰囲気とGKの構え方や視線を瞬時に把握して、本来思っていた方向とは逆に蹴った。
中村俊輔にとってFKはもはやFKではない。
ここまで話を聞いて思ったのは、中村俊輔という選手にとってFKはもはやFKではないということだ。彼の思考を辿っていくと、それはPKの考え方に近い。
だからこそ、思い切って聞いてみた。
中村俊輔にとってフリーキックとは? しばらく考えていた彼は、こちらが差し出した色紙におもむろに書き出した。
その答えはシンプルにして力強いものだった――。
37歳にして、超一流の技術と豊富な経験をプレーに反映し続けている男の貴重な肉声の続きはNumber888号にてお楽しみください。