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キタサンブラック菊花賞制し7戦5勝。
北島三郎、馬主歴53年目のGI初戴冠。 

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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photograph byYuji Takahashi

posted2015/10/26 16:50

キタサンブラック菊花賞制し7戦5勝。北島三郎、馬主歴53年目のGI初戴冠。<Number Web> photograph by Yuji Takahashi

世代最強馬ドゥラメンテの欠場で混戦となった菊花賞を制し、王座争いに名乗りをあげたキタサンブラック。

キタサンブラックが、勝ちを決めたあの一瞬。

 突如として出入りの激しい競馬になったが、北村宏司のキタサンブラックはそれに惑わされることなく、先行グループの後ろのインコースでじっとしている。

「とにかく慌てないで乗ろうと思った」と北村。

 3コーナーの坂を下りながら各馬が一斉に動き出した。馬群は密度を高めながらラスト600m地点を切り、4コーナーを回っていく。

 直線入口。先頭のミュゼエイリアンが後ろを突き放しにかかった。

 馬群のなかからリアファルが抜け出し、外からミュゼに並びかける。その後ろの内埒沿いからキタサンブラックが伸びてきて、ミュゼとリアファルの間のスペースを狙う。

 ラスト200m。リアファルがミュゼをとらえた。と思ったときには、キタサンブラックが2頭の間に割って入り、さらに脚を伸ばしていた。

 キタサンブラックとリアファルが叩き合い、キタサンブラックが体半分ほど前に出た。が、2頭の外からリアルスティールが猛然と伸びてきて、まとめてかわすかに見えた。

「なんとか頑張ってくれ、と思いながら折った」という北村のステッキに応え、キタサンブラックがリアルスティールより一瞬早くゴールを駆け抜けた。

注目馬、それぞれの敗因は……。

 勝ちタイムは3分3秒9。

「三冠すべてに出走して一生懸命頑張ってくれていたので、最後に獲ることができてよかった」と北村。

 首差の2着はリアルスティール、半馬身差の3着はリアファル、4着はタンタアレグリア、5着はサトノラーゼンだった。

 リアルスティールに騎乗した福永祐一は、「向正面で内の馬と接触したのが痛かった。そこから力んでしまった」と振り返り、リアファルの手綱をとったクリストフ・ルメールは「レース前からテンションが高く、向正面で少しずつ消耗してしまった」と語った。

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