全日本ラリー選手権レポートBACK NUMBER
43回目のラリー界「伝統の1戦」で、
新井敏弘が逃げ切って今季5勝目!
posted2015/10/23 16:00
text by
CINQ(サンク)CINQ
photograph by
TOYOTA
今年で43回目の開催を迎えた「M.C.S.C.ラリーハイランドマスターズ」は、全日本ラリー選手権のなかで最も長い歴史を持つ。
1971年に初開催されて以来、北アルプスや乗鞍の威容を背景に、極悪路の山岳地帯を駆け巡るこのラリーは、速さはもちろんのこと、マシンの耐久性とともにマシンを壊さないドライビングテクニックが求められる過酷な戦いとしてその名を馳せてきた。1984年の第13回大会からは全日本シリーズに加わり、以来、1991年に一度休止した以外は継続して開催されている。近年は、林道の舗装化が進み路面が安定したこともあり、かつての極悪路を走る耐久色の強いラリーから、0.1秒を競うスプリントラリーへと変貌を遂げている。
昨季、全SSを完全制覇した勝田だったが今季は……。
2日間で争われるラリーは、10月17日の午前10時にスタート。1日目は6本のSS(スペシャルステージ)で争われる。
最上位クラスのJN6クラスは、前戦の「ラリー北海道」で今年のチャンピオンを獲得した新井敏弘/田中直哉(スバルWRX STI)が、SS1からSS5まで5連続ベストタイムを刻み、1日目を終えた時点で2位の勝田範彦/石田裕一(スバルWRX STI)に11.4秒のリードを築いた。
「このラリーは狭いコーナーが連続するツイスティなステージが多いので、その特性に合わせてあらかじめサスペンションのセッティングを変えてきたんだ。狙い通りの走りができて良かったよ」。満足げな表情をみせる新井に対し勝田は、「マシンが曲がらず、思うようにコントロールできない」と渋い表情を見せた。
昨年、このラリーで全SSを制覇して完全優勝を果たした勝田にとって、初日に1本のSSも奪えない予想外の展開となった。勝田は初日の最終サービスでサスペンションスプリングを変更し、2日目のステージに備えた。