全日本ラリー選手権レポートBACK NUMBER
43回目のラリー界「伝統の1戦」で、
新井敏弘が逃げ切って今季5勝目!
text by
CINQ(サンク)CINQ
photograph byTOYOTA
posted2015/10/23 16:00
スバルWRX STIのワンツーとなったハイランドマスターズ2015(写真は優勝した新井敏弘/田中直哉のマシン)。
新井のマシンで痛恨のセッティングミス!
1日目と同様に6本のSSが設定された最終日の18日は、オープニングのSS7で勝田がこのラリー初のベストタイムを奪い、続くSS8も連取、反撃を開始する。だが、SS9は新井がベストタイムで盛り返し、ふたりの差はわずかに0.3秒縮まったに過ぎなかった。
ラリー北海道のように1本あたりのSSが約20~30kmで構成されているラリーの場合は、1本のSSでタイム差を一気に詰めることも可能だが、今回のラリーのように1本あたりのSS距離が約6~10kmと短い場合は挽回することが難しい。わずか約11秒のタイム差だが、勝田にとっては大きなビハインドとなった。
だが、その勝田にチャンスが訪れる。2日目のサービスでマシンの整備や修復を行なった際、新井はアライメント(タイヤの取り付け角度)の数値を間違えてセットアップしてしまい、大幅にタイムを下げてしまう。勝田はサービス直後のSS10で4.8秒、SS11では4.6秒と一気に差を縮め、最終SSとなるSS12を残し、トータル1.7秒差にまで迫った。
この勝田の猛追に対して新井は、SS12のスタート前に自らアライメントを再調整。この作業が功を奏しSS12でベストタイムを奪い返すことに成功する。
結局、トータル3.8秒差で逃げ切り、新井は今季5勝目を獲得した。
JN5クラスは、ついに混戦に決着。
今シーズン、開幕から混戦が続くJN5クラスでは、第7戦を終えシリーズポイントトップに立つ天野智之/井上裕紀子(トヨタ・ヴィッツGRMNターボ)、グラベルラウンドで3勝を挙げた関根正人/竹下紀子(三菱ミラージュ)、ターマックラウンドで2勝を獲得している眞貝知志/漆戸あゆみ(アバルト500ラリーR3T)による三つ巴のタイトル争いが焦点となった。
1日目は伏兵が健闘し、上原利宏/佐瀬拓野(ホンダ・シビック タイプR)がトップ、2位に寺島信也/関根慎二(ホンダ・インテグラ タイプR)が立つ。しかし、2日目最初のSS7で1、2位が揃ってリタイアという波乱の展開となり、優勝は山口清司/山本磨美(トヨタ86)。2位に天野が入賞し、最終戦を待たずしてJN5クラスのチャンピオンを獲得した。