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<井上雄彦が密着取材>
車イスバスケ日本代表、いざ、ガチンコ勝負!!
text by
名古桂士Keishi Nako
photograph byShinji Hosono
posted2015/10/08 10:00
真夏の日本代表強化合宿に参加した選手たち。及川HCのもと、キャプテンの藤本やブンデスリーガで活躍する香西、千葉ホークスの千脇貢を中心にリオの切符をかけて戦う。
あれから4年。上を行くライバルたち。
あの死闘から4年、ロンドンで9位だった日本はアシスタントコーチから昇格した及川晋平ヘッドコーチの下、世界を視野に入れた新たなチーム作りに取り組んできた。しかし、ライバルたちはそのさらに上を行く。昨年7月に韓国で開催された世界選手権では、6位韓国、8位イラン、9位日本。10月の仁川アジアパラ大会では、優勝韓国、2位日本、3位イラン。韓国にはアウェイながら3連敗を喫することになった。
「4年前に勝って安堵と共にこれで韓国がもっと強くなると危機感を持ちました。予想以上にレベルを上げてきました」(藤本)「あの敗戦の悔しさが韓国を強くしたのだと思います。昨年の3連敗は4年前のような接戦を最後で逆転されてしまった試合。今回は僕たちも連敗から学んで様々な準備をしてきました」(及川HC)
進化する“シンペーJAPAN”。
日本が誇る2枚看板の藤本と香西宏昭は、世界から有力選手が集まるブンデスリーガのハンブルガーSVでプレイしてコンビネーションを磨いてきた。若手からは16歳のスーパールーキー鳥海連志がチームに定着し新風を吹き込んだ。
「4年前は最後で選考から外れて悔しい思いをしました。最高のコンディションですべてをぶつけたい」と語るのは、千葉出身の土子大輔。『スラムダンク』でバスケを始め、26歳のときにバイク事故で右大腿を切断。『リアル』で車イスバスケと出会ったという土子には、「タフなメンタルを持ったシューター。1本で試合の流れを変えられる」と及川HCも大きな期待を寄せる。
9月の合宿を取材した井上雄彦は、チームの大きな進化を実感したという。
「及川HCが積み上げた理論や共通理解がチームに浸透してきたと感じました。チームとしてのベースの上に緻密さや連携など日本らしさが加わっています。12人全員で戦うところに、今の日本代表“シンペーJAPAN”の強みがあると思います」
4年前の逆転劇の立役者となった京谷和幸がACとしてチームに復帰したことも大きい。戦略面を'14-'15シーズンのbjリーグで優勝を飾った浜松・東三河フェニックスの東野智弥HCがサポートする、大会に向けたチーム体制も整った。