マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
オリックス・東明大貴のルーツとは?
「超隠し玉」だった大学1年生の頃。
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2015/09/25 10:30
プロ2年目にして二桁勝利を挙げた東明大貴。四球の少なさにも特徴がある。
澄んだ表情の奥に、とんがった何かが。
こいつをなんとかしてやろう。
東明が投げているうちに点を取ってやりたい。
プロには、まわりが勝たせてくれる投手とその逆がいるように見える。どっちだといえば、間違いなく前者に入る「愛されキャラ」ではないか。
これから伸びていく人のみずみずしさ。今年26のバリバリの一軍選手に、ちょっとおかしいかもしれないが、ピシャッと抑えながら終盤にボカンと大きなホームランを打たれてしまうようなところに、まだまだ伸びしろを感じる快腕だ。
思い出したことがある。富士重工でボールを受けたあとだった。
「ものすごく回転いいんだけど……」
そう持ち上げたら、目がなくなるほど嬉しそうにする。
「ちょっと、ボール、軽いかな……」
遠慮しいしいそう様子をうかがったら、一転、キッとなった細い目の怖かったこと。
青年らしい澄んだ表情の奥の奥に、ものすごくとんがった“狂気”を隠し持って、それも東明大貴のもう一つの伸びしろと、たとえば「桑田真澄」をイメージしながら、彼の進境を私はとても楽しみにしている。