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ランディ・バースが明かす、
日本で戦った最高の投手とは?
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byMakoto Kemmisaki
posted2015/09/16 10:45
言わずと知れた、阪神の伝説的助っ人バース氏。現在はオクラホマ州議会の議員を務める。
バックスクリーン3連発の真実。
――4月17日に甲子園球場で巨人の槙原寛己投手から放ったバックスクリーン3連発ですね。あの打席を振り返ってください。
「槙原は150kmを超すストレートを投げる生きのいいピッチャーだった。しかも前の打席ではシュートを打ってゲッツーに倒れていたから、あの打席ではムリに引っ張らずにセンター方向に打ち返すことを意識していたよ。打ったのは球速が134km(実際は144km)くらいだったから真っ直ぐではない、おそらくシュートだと思う。自分の中では感触は悪くなかったけど、完璧ではなかった。だから打った瞬間はフェンスにダイレクトに当たるか、ひょっとしたらスタンドに入るかなと思った。そうしたら打球は思った以上に伸びていったわけだ」
――あなたの一発に続いて掛布さん、岡田さんが同じようにバックスクリーンに打ち込んだ。あの3連発で巨人ばかりかセ・リーグの投手に強烈なインパクトを与えたのは確かですね。
「2人のホームランは完璧だったからね。あの年の打線の話をするなら、クリーンアップとともに1番の真弓の存在も大きかったと思う。彼が1番でいきなりホームランをよく打ったからね。先頭打者ホーマーを何本も打っていた(シーズン6本)。それで私の後には掛布と岡田がいたんだから、相手投手は厄介だったと思うよ」
掛布はオールラウンド、岡田は天才。
――掛布選手と岡田選手のバッティングを、どのようにみていましたか?
「カキ(掛布)はオールラウンドプレーヤーだった。打つだけじゃなくて、三塁手としても日本一だった。バッティングは引っ張っても打てたし、流しても打てたからね。完璧だったよ。日米野球だったと思うけどジョージ・フォスター(元シンシナティ・レッズの大打者)が彼のバッティングを見て、『このチビは、なんであんなにボールを飛ばせるんだ!』って聞いてきたことがあったほどだぜ。なにしろ腰の回転が凄かった。腕力はなかったけど、下半身の回転で打つ選手でミートもうまかった。右投手も左投手も苦にしなかったね」
――岡田選手はどうですか?
「ワンバウンドの送球を捕る練習を一番させてくれたのはオカだったよ(笑)。それは冗談として、彼はタイミングの取り方が天才的だった。そもそも二塁を守っていて35本もホームランを打てるバッターなんてそうはいないからね。あと、高めの球をあおらずに打つ技術が凄かったな。高めのボールには滅法強かった」