サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER

大勝の裏で遂に起こった「政権交代」。
西川周作が発揮した集中と、叱責。 

text by

戸塚啓

戸塚啓Kei Totsuka

PROFILE

photograph byTakuya Sugiyama

posted2015/09/11 10:40

大勝の裏で遂に起こった「政権交代」。西川周作が発揮した集中と、叱責。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

Jリーグのベストイレブンに3年連続で選ばれている西川周作も、代表では川島永嗣の壁に跳ね返され続けてきた。ついに手にしたチャンスを、つかみ損ねるわけにはいかない。

ブラジルW杯直前の「人生で一番悔しい試合」。

 苦い記憶がある。昨年6月のザンビア戦だ。

 ブラジルW杯前最後のテストマッチで、西川はスタメンに抜擢された。すでにスタメンは川島で固まりつつあったが、彼にとってはギリギリで巡ってきたアピールの機会である。

 ピッチに爪痕を残すとの気持ちは全身に満ち溢れていたが、試合後の彼は肩を落とした。勝利したとはいえ、4-3という結果はGKとして受け入れがたい。

「あの試合はサッカー人生で一番悔しい試合になりました。守備だけでなく、自分の特徴である攻撃面でも何もできなかった。チャンスを逃してしまったと、本当に考え込みました」

 今回の2試合にかける意気込みは、それだけに強かった。「ポジション奪取へのきっかけになったのでは?」と問われると、表情がぐっと引き締まる。

「この2試合で使ってくれた監督に感謝していますし、正GKを奪う気持ちでこれまでもやってきて、チャンスは自分でつかむしかないと思っていました。2試合とも勝って当たり前と言われるなかで、僕だけでなくディフェンス陣全体が集中を切らさずに無失点で抑えられたのは、ひとつ自信になったかなと思います」

おそらくシリア戦も、スタメンは……。

 10月8日のシリア戦は、首位を走るライバルとの直接対決だ。グループ1位で最終予選へ進出するためにも、勝点3が必要な一戦となる。

 日本代表で長く西川に立ちはだかってきた川島は、いまだに所属クラブが決まっていない。集合後ひとつ目のゲームということを考えても、ハリルホジッチ監督が継続性を担保する公算は大きい。GKには背番号12が指名されるだろう。

「結果を残していくことが、自分の立場ではすごく大事です。自分のプレーがチームのプラスになればなおいいので、とにかく、いい準備を心がけてやっていきたい。来月には厳しいアウェーゲームが待っているので、今日の経験を生かしていきたいと思います」

 連勝の陰に隠れてしまったが、小さなうねりは確かに起こっている。ふたつの試合でピッチに刻んだ足跡を、西川は力に変えていく。

BACK 1 2 3
#ヴァイッド・ハリルホジッチ
#川島永嗣
#西川周作
#ロシアW杯

サッカー日本代表の前後の記事

ページトップ