松山英樹、勝負を決める108mmBACK NUMBER
思い通り打てずとも優勝は争える。
PO初戦を突破、松山英樹の自信。
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph bySonoko Funakoshi
posted2015/09/01 11:25
最終日の16番。ラフからのリカバリーを観衆も固唾を飲んで見守っていた。優勝争いではなくとも、松山英樹のプレーから目を離そうとするギャラリーはほとんどいない。
「ひっかかり」は「取っかかり」になる。
「ひっかかり」は「取っかかり」になる。そして「取っかかり」は、突破口にきっとなる。戦い終えて疲れ果てた松山は、口ごもったゴニョゴニョ部分を、もはや語る気力も体力もなくなった様子。
「うん、そう言ったっすけどね……コースが簡単なら、まあ伸びるわけだけど……うーん、じゃあ、また来週! お疲れっした~!」
そう言って、オフィシャルカーの助手席に乗り込み、プレー中の形相とは180度正反対の無邪気な笑顔で手を振っている。
その笑顔の下にも、今週4日間で記憶されたものがいくつもあるはず。その1つ1つがさらなる取っかかりになり、小さな可能性を大きな成功へつなげる突破口になっていく。
そうやって彼は、経験を紡ぎ、ひっそりと努力を重ね、ますますビッグになっていく。