松山英樹、勝負を決める108mmBACK NUMBER
思い通り打てずとも優勝は争える。
PO初戦を突破、松山英樹の自信。
posted2015/09/01 11:25
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph by
Sonoko Funakoshi
米ツアーは4試合に渡るプレーオフシリーズに突入した。
第1戦は、フェデックスカップランキング125位までの選手が出場。大会終了後、ランキング100位までが第2戦へ、70位までが第3戦へ、30位までが最終戦へという具合に、試合ごとに絞り込まれていく。そして、総合優勝者には10ミリオンのビッグボーナスが贈られる興奮の4試合だ。
だが、第1戦のバークレイズに挑んでいた松山英樹は初日からどうも元気がなかった。元気というより覇気が感じられない。それは前週のウィンダム選手権で予選落ちしたばかりだからなのか。それともその前週の全米プロ3日目に、珍しくトリプルボギーを叩いたショックから抜け切れていないのか。いや、彼の表情を暗くしていたのは、ショットの手ごたえがなかなか掴めないもどかしさだった。
初日は1アンダー69で回り、32位。フェアウェイバンカーからのショットに5番ウッドを握ったことが災いし、目の前のアゴに当たってダブルボギーといったミスもあったが、合計6つのバーディーを奪い取り、落としたスコアを拾い戻した。
2日目は寄せ損ないや3パットなど小さなミスで3ボギーを喫したが、4バーディーを奪い返し、スコアはこの日も69。だが、順位は24位へ上昇。ミスしても、うまく補っていくリカバリーゴルフ。そのかいあって、松山は着実にリーダーボードをよじ登っていた。
思い通りにいかない時でも、スコアを作れる自信。
「優勝できるゴルフはしていなくても、優勝は目指している。すごいプレーをしなくても、ミスをミスにしなければ、優勝争いはできる」
今の自分のように思い通りのショットが打てないときでも、スコアを作り出して戦えるという点に対して、彼は強い自信を示した。
3日目は前半で池に落としてダブルボギーを喫したものの、後半は次々に5バーディーを奪う快進撃を見せた。前日の言葉通りミスをミスにせず、スコアを伸ばし、首位と6打差の14位で迎える最終日。
優勝の可能性は、あるのか、ないのか。
「あると思う」
その返答に、松山の成長が垣間見えた。