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悲願のメダルを生んだ「先人の土台」。
谷井孝行の快挙は、競歩界の総力だ。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAFLO
posted2015/08/31 16:30
自衛隊体育学校所属の谷井孝行は、ジュニア、高校生時代から世界で戦ってきた。6度目の世界陸上での初メダルは、日本競歩界の悲願であった。
「作ってくれた土台に、うまく乗っかれています」
今回銅メダルを獲得した谷井は1999年の世界ユース選手権で銅メダルを獲得し、2004年のアテネ五輪以降、オリンピックや世界選手権などの舞台で戦ってきた。日本競歩の変化とともに歩んできた選手である。だからこそ、口をついて出た言葉だったろう。また、競歩の過程を知れば、そこに込められた思いの深さを理解できる。
そういえば鈴木もまた、以前こう語っていた。
「作ってくれた土台に、うまく乗っかれています」
今回の世界陸上でのメダル獲得で、強化は一つの成果となって表れた。
また、昨年の南京ユース五輪で金メダルを獲得した小野川稔をはじめとする若い世代も成長を見せ、厚みを増そうとしているのが現在だ。
その流れをより太くし、次へとつなげていくためには、リオデジャネイロ五輪は重要な場となる。
50kmをはじめ今回は苦しんだ20km、そして女子も含め、来年を楽しみにしたい。