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ヤングMVPと過去の大選手。
~ハーパーとトラウトの受賞は?~ 

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芝山幹郎

芝山幹郎Mikio Shibayama

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posted2015/08/14 10:50

ヤングMVPと過去の大選手。~ハーパーとトラウトの受賞は?~<Number Web> photograph by Getty Images

エンゼルスのマイク・トラウトの特筆すべき点は、打率に加えて四球も多いため出塁率が高く、盗塁王に輝いたこともあるほどの足を併せ持つこと。まだ24歳、末恐ろしい選手である。

24歳以前に130本塁打を放った、という事実。

 だが、これまでの実績や今後の伸びしろとなると、興味はやはりトラウトに傾く。

 ごく目先の話でいうと、2015年7月の彼は凄まじい打棒をふるった。打率=3割6分7厘、出塁率=4割6分2厘、長打率=8割6分1厘、OPS=1.323に加えて本塁打が12本。これで今季の成績(8月9日現在)は、打率=3割5厘、出塁率=3割9分7厘、長打率=6割1分6厘(リーグ1位)、OPS=1.013(リーグ1位)、本塁打=33(リーグ1位)と伸びた。年齢は24歳を迎えたばかりだが、24歳未満の通算本塁打数は、過去の大選手に匹敵する。

 トラウトは24歳になる前に130本の本塁打を放った。これはフランク・ロビンソンと並んで歴代4位の数字である。彼らよりも本塁打数の多い早熟型選手は、エディ・マシューズ(153本)、メル・オット(153本)、ケン・グリフィー・ジュニア(132本)の3人しかいない。あのアレックス・ロドリゲスが128本、ハンク・アーロンでさえ110本という数字を見ても、トラウトの前途は明るい。ちなみに、いま挙げた選手たちはそろって通算500本塁打以上を記録している。

野球史に残るほどのスケール感あるコンビになるか。

 もうひとつ注目すべき指数はWARだろう。

 トラウトは2012年(新人王獲得の年)以降、3年連続でリーグ1位のWARを記録している(10.8→9.3→7.9)。今季はいまのところ6.9で、2011~15年(19~23歳)の通算WARは35.5に達する。これは1906~10年(19~23歳)のタイ・カッブ(合計35.7)や'39~'42年(20~23歳。'43年は兵役)のテッド・ウィリアムズ(34.2)に匹敵する数字だ。'51~'55年(19~23歳)のミッキー・マントル(29.6)や'89~'93年(19~23歳)のケン・グリフィー・ジュニア(30.0)と比べても、トラウトの価値は高い。

 とまあそんなわけで、今季のMVP争いは、野球史的に見てもかなり興味深い展開になっている。残り2カ月、ふたりに故障がないことを祈るばかりだが、もし両者の受賞が実現すれば、2005年のアルバート・プーホルス(当時カーディナルス)とA・ロッド(ヤンキース)の受賞以来のスケール感といってよいだろう。あるいははるか昔、1957年のハンク・アーロン(当時ミルウォーキー・ブレーヴス)とミッキー・マントル(ヤンキース)の受賞を思い出してみようか。花も実もある若手が表舞台で輝くのは、やはりスリリングな光景である。

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