プレミアリーグの時間BACK NUMBER
マンU今季の移籍戦略は大型&的確。
“真剣に”優勝を争う布陣が完成間近。
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byAFLO
posted2015/07/20 10:40
クラブ、代表であらゆるタイトルを総なめにしてきたバスティアン・シュバインシュタイガーの存在は、マンUにとって大きな力になる。
ベンゼマ? カバーニ? ディマリアは……?
元々、メディアではカリム・ベンゼマをレアルから獲得するべきだとの意見が多かった。年間20得点は堅い決定力に加え、時に「利他的」とさえ言えるほど周囲を生かすアシストの姿勢が、「チームへのトータルな貢献」を求めるファンハール向きと理解されているようだ。
だが、PSGからの獲得商談が進行中と報じられているエディンソン・カバーニも、決して間違ったターゲットではない。年間30点前後が期待できる得点力は、昨季のリーグ得点数がトップ4では断トツ最低の62点だったマンUにとっては巨大なプラス。
ピッチ外ではズラタン・イブラヒモビッチに1トップを譲る立場に不満を仄めかすことがあっても、ピッチ上ではアウトサイドからチャンスメイクに貢献し、後方のMFやDFを守備で援護する献身的な働きを見せてきた大物だ。
PSGからは、アンヘル・ディマリアの放出を交換条件として要求されているという。昨夏にリーグ史上最高の移籍金を要したアルゼンチン代表アタッカーは、今夏のコパアメリカでも持前の突破力と創造力を見せていたが、マンUでの現実は昨季後半からベンチ要員だ。
3トップのアウトサイド要員としては、放出対象から主力へと株を上げたフアン・マタとアシュリー・ヤングの他、ファンハールが使って育てる意思を捨てていないアドナン・ヤヌザイ、更には指揮官の祖国オランダのPSVからメンフィス・デパイというFW兼ウィンガーの逸材も加わっている。前線中央の定位置を競う立場にあるルーニーも、チーム随一の献身性をもってすれば、アウトサイドの第一人者としても機能しうる。つまり、ディマリアとカバーニのトレードは悪い話ではない。
デヘアの移籍騒動はいまだ不透明だが……。
一方で悪い話としては、昨季中からのダビド・デヘア移籍騒動が尾を引き続けている。マドリード生まれの守護神はプレシーズンのアメリカ遠征に帯同してはいるが、レアルからの正式オファーがあった時点で、フィアンセも待つ故郷への移籍をクラブに直訴すると見られている。また、昨季の控えGKだったベテランのビクトル・バルデスが遠征メンバーから漏れていることから、傍目には後任未定も不安と映る。