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最後は「友達の多いヤツ」が有利!?
MotoGP後半戦、王者たちの三つ巴。
posted2015/07/19 10:40
text by
遠藤智Satoshi Endo
photograph by
Satoshi Endo
第9戦ドイツGPを終えた時点でグランプリはシーズンの半分を消化、3週間の夏休みに入った。
前半戦を終えてロッシが総合首位。13点差でロレンソが続き、2年連続チャンピオンのマルケスが65点差の4位という結果である。
ドゥカティのイアンノーネが3番手につけているが、チャンピオン争いはロッシとロレンソのヤマハ・ワークスの2人に絞られ、後半戦の展開次第ではホンダのマルケスにもチャンス到来という状況にある。
今年もシーズンが進むにつれてホンダとヤマハの対決となったが、シーズン前半戦を終えた段階ではヤマハの圧勝である。
何よりも驚かされたのは、36歳のベテランのロッシが3勝を含む9回の表彰台で総合首位でシーズンを折り返したことだ。
「チャンピオン獲得は難しい」と本人も語っていたが……。
ロッシは2009年にMotoGPで6回目のチャンピオンを獲得。これをピークに'10年には怪我の影響もありロレンソにヤマハのエースの座を奪われ、'11年と'12年のドゥカティ時代はどん底を味わい、もう引退か? と言われた。
'13年にヤマハにカムバック。この先はときどき表彰台に立ち、何度か勝つこともあるだろう――そういう時代を経て、引退していくのだろうと僕は思っていた。
当のロッシも昨年までは「チャンスがないわけではないが、現実的にはチャンピオン獲得は難しい」と語っていた。そのロッシが開幕戦からポイントリーダーをキープしているのだからビックリである。
ロッシの好調の要因は、今年のヤマハYZR-M1のブレーキングの安定性が高まったことである。
ブレーキの温度が上がりやすい傾向にあるヤマハには、昨年から使用できるフロントブレーキのディスク径が大きくなったことが追い風となった。
加えて、これまで加速側だけに採用されていたシームレス・ミッション(クラッチを使わず、アクセルも戻さない状態でギヤを変える構造でショックがない)が減速側にも対応したことで、このシステムで先行するホンダのアドバンテージを削ることになった。