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ホンダが前代未聞“25グリッド降格”。
難解すぎるルールの解決を望む。
text by

尾張正博Masahiro Owari
photograph byGetty Images
posted2015/06/28 10:40

最後方スタートのアロンソは、レース1周目にライコネンと絡んでリタイヤ。まさに踏んだり蹴ったりの週末となった。
今のレギュレーションをファンは理解しているか?
ホンダは今回、フェルナンド・アロンソのマシンでも3つのコンポーネントで5基目を投入し、さらにギアボックスを交換したため、20+5で合計25グリッド降格というペナルティを受けていた(しかしレースでの処分は、なぜか20グリッド降格にとどまった)。
レース前日の記者会見でその件を尋ねられたアロンソは、こう言って現在のF1のレギュレーションを批判した。
「僕たちが日曜日に受けるペナルティを、家でテレビ観戦している人たちはたぶん理解していないんじゃないかな。ちょっと複雑すぎると思う」
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オーストリアGPでパワーユニットを交換してグリッド降格ペナルティを受けたのは、ホンダだけではない。
ルノーのパワーユニットを使用しているレッドブル勢2台も、初めて5基目を投入したので、それぞれ10グリッド降格となり、予選14位だったリカルドはレースで5秒加算ペナルティを受けていた。
レース後、レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は、「現在のレギュレーションを変更するために、いますぐなんらかの手を打つ必要がある。いまのレギュレーションは新しいパワーユニット導入に向けて話し合ったテクニカル・ワーキング・グループのスタッフが制作したものだが、あまりに複雑すぎる」と、語気を強めた。
解説者も現行のルールに異を唱えている。
アロンソやホーナーは、ペナルティ対象となったから負け惜しみを唱えているのではない。
元F1ドライバーで現在イギリスのF1中継の解説を行なっているジョニー・ハーバートも、新しいパワーユニットに合わせて導入されたレギュレーションに矛盾を感じているひとりだ。
「ジェンソンやフェルナンドが何かしたか? 罪は何も犯していない。パワーユニットの交換で与えられるペナルティは、チームやパワーユニットを供給するメーカーが受けるべき。だからグリッドは予選結果のままで、与えられるコンストラクターズポイントを剥奪するとか、メーカーが使用可能なトークン数を減らばいいと思う。ジェンソンやフェルナンドといった元チャンピオンが最後尾からスタートするレースを、だれが見たいと思う?」