プレミアリーグの時間BACK NUMBER
今季の“がっかり”ナンバーワン!?
転落のリバプール、監督人事の行方。
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byTomoki Momozono
posted2015/05/30 10:40
サポーターが熱い期待を寄せたロジャーズ。果たして来季もこの光景は見られるのだろうか。
選手の中には監督への信頼感を表明するものも。
リバプールはFAカップ準決勝敗退後、リーグ戦6試合で1勝しかできていない。その唯一の勝利も、最下位で降格する運命にあったQPRを相手にした辛勝(2-1)だ。目標の4位はマンUに敗れて遠退き、今季限りでリバプールを去るスティーブン・ジェラードのためにと意気込んでいた、偉大な主将の誕生日にFAカップ優勝という望みも消滅した。主力に若手が多いチームは、4月の段階で今季の戦いを諦めてしまったかのようだ。
そのため、再び選手の士気を高められなかったロジャーズの求心力を疑問視する声もある。だがチームには、育成派のロジャーズが監督だからこそ1軍定着のチャンスを与えられたと言える上に、悲願のリーグ優勝に肉薄した昨季をも経験している若手が多い。
その1人であるラヒーム・スターリングは移籍希望とされるが、それは監督に対する不満ではなく、補強予算や年俸に関する制限により、CL常連の強豪ライバル勢よりもタイトル獲得の確率が低いクラブへの不満によるのではないだろうか?
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同じく成長著しい若手の1人で、センターハーフとしてもキャプテンとしてもジェラードの後継者と目されるジョーダン・ヘンダーソンなどは、「監督の教えを聞いて努力すれば間違いない」と監督への信頼感を表明している。
オーナーはロジャーズ続投を予定。
報道によれば、オーナーとしてロジャーズの運命を握るフェンウェイ・スポーツ・グループは、今夏の監督交代は考えていないという。堅実なクラブ運営を好む経営陣による、賢明な判断だと言える。
新ストライカーの獲得が前提となるが、ロジャーズ続投となれば過去3年間のリバプールの復興努力が無になることはない。しばし「カウンター文化」に染まっていたチームは、ボールを支配して攻めるロジャーズ流のスタイルを身につけつつある。今季にしても、ポゼッションとチャンスの数では敵を上回った試合が多く、攻撃を締めくくる腕の立つフィニッシャーがいれば、マンUと最後まで4位争いを続けられたはずだ。