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実力者の逆襲と大器の飛躍。
~ブライス・ハーパーが大爆発~ 

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芝山幹郎

芝山幹郎Mikio Shibayama

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posted2015/05/30 11:00

実力者の逆襲と大器の飛躍。~ブライス・ハーパーが大爆発~<Number Web> photograph by Getty Images

打率5割2分2厘、3本塁打、9打点の大活躍で週間MVP(11~17日)を獲得したブライス・ハーパー。

スタッツは一見平凡だが……。

 スタッツを見ると、図抜けた数字は表に出ていない。打率は30球団中11位の2割5分7厘で、本塁打数は30球団中7位の50本。ご自慢の投手力も、防御率が30球団中8位の3.24、WHIPが30球団中15位の1.29と、意外に月並みな成績しか残っていない。

 ただ、さすがと思わせる数字は混じっている。投手の被本塁打数が28本と、30球団中最も少なく、与四球108個も30球団中4番目に少ない。要するに、投手陣が四球を与えず、本塁打を打たせぬ一方で、打線が四球を選んで(四球数150は30球団中7位)本塁打を放つ、という勝利の方程式がおのずとできあがっているのだ。

本塁打1位、打率4位、打点2位のハーパーが中心!

 その中心にいるのが、大器ブライス・ハーパーだ。2010年のドラフト、ハーパーは鳴り物入りでナショナルズに指名された。エンジェルスのマイク・トラウトと並んで、将来の大リーグを背負って立つ逸材という声は、当初から高かった。

 しかし過去3年、彼は怪我に苦しめられた。打率=2割7分、本塁打=約20本が地相場という状態がつづき、贔屓筋に歯ぎしりさせるケースも少なくなかったのだ。

 そんなハーパーが、今季はついに大輪の花を咲かせようとしている。45試合に出場して本塁打16、得点39、四球40、出塁率4割7分1厘、長打率7割2分7厘、OPS1.198(いずれもリーグ最高)という素晴らしい数字が並んでいるのだ(打点41は2位、打率3割3分3厘は4位)。

 なかでも眼を見張らされたのは、ナショナルズが快進撃をつづけていた5月6日から20日にかけての13試合での成績だ。この間のハーパーは、44打数23安打(5割2分3厘)、10本塁打、23打点と爆発し(三振はわずかに5)、チーム急上昇の立役者となったのだ。もともと固め打ちのできる選手だけに(今季も1試合複数本塁打をすでに2度記録している)、持続性が加われば鬼に金棒ではないか。怪我さえなければ、キャリアハイの22本塁打や59打点は、オールスター前に更新する可能性が高い。

【次ページ】 彼らがポストシーズンの本命であることは間違いない。

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#ワシントン・ナショナルズ

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