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2015年ドラ1候補12人を先取り!
高校、大学、社会人の注目株たち。  

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小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2015/05/25 11:00

2015年ドラ1候補12人を先取り!高校、大学、社会人の注目株たち。 <Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

東海大相模の二枚看板の一角を担う投手・吉田凌。春季高校野球関東大会の準々決勝・作新学院戦では、8奪三振1失点の完投勝利という好成績をおさめ、集まった多くのスカウトの熱い視線を浴びた。

関東一のオコエ瑠偉は史上最高クラスの俊足。

 中でも私が密かに1位指名されるのではと思っているのはオコエ瑠偉(関東一・外野手)だ。

 走攻守3拍子揃い、とくに外野からの強肩と俊足はプロでも上位に入る。たとえば二盗のときのタイム。リードの大小に関係なく、ストップウォッチで「走るモーションを起こしたときにスタート、滑り込んで二塁ベースにタッチした瞬間にストップ」して計測した数値が、4月18日の早稲田実戦では3.08秒(1回裏)と3.27秒(6回裏)だった。

 10年以上前、阪神の永尾泰憲スカウト(当時)から「アマチュアでは3.4秒、プロでは3.2秒が俊足の目安になる」と教えられて以来、注目選手が出塁するたびに計測してきた。現在では3.0秒台を計測する選手もたまに出現するが、それはあくまでもプロの話で、高校生がこのタイムで走るのを見たのはオコエが初めてである。

 高校生の外野手が1位指名されるのは非常に珍しく、統一ドラフトになった'08年以降では'10年の駿太(前橋商→オリックス)、'11年の川上竜平(光星学院→ヤクルト)、'12年の高橋大樹(龍谷大平安→広島)の3人だけ。指名するプロの勇気が試される選手と言っていい。

今年は大学生が豊作。富士大の多和田は上位濃厚。

●大学生

 今年のドラフトの中心勢力は大学生である。多和田真三郎(富士大)、熊原健人(仙台大)、上原健太(明治大)、今永昇太(駒澤大)、吉田侑樹(東海大)、西村天裕(帝京大)の投手陣に、野手陣は高山俊(明治大・外野手)、茂木栄五郎(早稲田大・三塁手)、大城滉二(立教大・遊撃手)、谷田成吾(慶応大・外野手)、藤岡裕大(亜細亜大・三塁手)たちだ。

 投手は東北と首都圏、野手は東京の強豪リーグに好素材が集中している。この中から大学選手権に出場する可能性があるのが多和田、熊原、吉田、茂木、谷田の5人で、とくに注目しているのが多和田だ。

 今春のリーグ戦は、第4週を終えた時点で6試合に登板して3完封(コールド勝ち含む)を記録、無失点を継続している。驚かされるのが低い体勢から投げ込む投球フォームと広いステップだ。好投手と言われる選手は6足半から7足でステップするのが普通だが、多和田はさらに半足くらい広い。このステップ幅と低い体勢から投じられるストレートは高めに浮くことがなく、左右のコーナーワークも緻密。

 1年秋の明治神宮大会初戦、国際武道大戦ではノーヒットノーランを記録しているように大舞台に強い。このときの国際武道大は4年生の友永翔太(中日)が5番を打つ強打のチームだったが、多和田の前に9三振を喫し、友永は併殺打、空振りの三振、セカンドフライに倒れている。

【次ページ】 都市対抗、日本選手権から社会人のブレーク組が。

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高橋純平

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